なぜ若い女性はホストにハマるのか。なぜ若い女性がパパ活、風俗、立ちんぼで稼いでまで、ホストクラブで大金を使うのか。
背景には、担当ホストの魅力だけではなく、歌舞伎町特有の論理がある。感情労働・肉体労働・アイデンティティ労働のすべてを兼ね備えたホストの仕事から、女性客の深層心理、そしていまの若者の価値観・消費行動までとても切実に綴られ、Z世代ライターが、愛憎渦巻く夜の世界の「搾取と依存の構造」について、とても詳細に綴られています。
著者もホストに通い狂っていたという事実もあり、とても説得力があります。風俗嬢がホストに貢ぐ構図や、なぜそんな行動に走るのか。
私から客観的にみれば、とても異常としか思えない行動ですが、自分の性的欲望、自己承認欲求を満たす居場所としてホストクラブに、どんな手段を使ってでもお金を作り、推しに会いに行きお金を浪費する。
著者は慶應義塾大学に在学中にホストに狂い、そんな自分の状況や友人、知人のおかれている現状を、社会学として卒業論文にまとめ、それに加筆修正したものだという。
自分はホストクラブが社会に必要なものだとは到底思えませんでしたが、では、たまに行くスナックは社会に必要かといえば、必要だと思う。(笑)
著者はホストクラブに出会ったことで、人生が潤い、好転したとは言うが、ホストクラブに出会ったことで、人生の歯車が狂い、地獄を見た人、人生が暗転した女性もいるでしょう。
それはスナックに通い、不幸になった男もいることが容易に予想できることで、妙に腑に落ちるような気がしました。(笑)
別著の「ぴえんという病 SNS世代の消費と承認 / 佐々木チワワ」も昨年読みましたが、Z世代というか、明らかに自分とは違う若い年代の思想に触れることが出来たことは、とても貴重な体験を本書からもいただくことが出来ました。