私も小学生時代はドリフに熱狂していた。土曜日の夜が楽しみだったし、それは私だけではないだろう。事実、一番支持されていた時期は視聴率50%も叩き出したという。
80年代にドリフに親しんできた身として、ドリフがどう位置付けられるのか。そんなことを冷静に考えさせられ、自分の幼少期を思い出させてくれる。そんな本書でございました。
毎週土曜日の夜。収録もあったが、基本的には生放送。それを観客を入れた舞台で演じる。見ていた私は楽しみでしかなかったが、それを提供する側がいかに大変だったのか。ネタ作り、準備、稽古、それを支えるスタッフたち。それに要するカネ。
ビートルズの前座を務めたことは有名であるが、コミックバンドとしてスタートしたドリフはもともと音楽性があった。そんな音楽からコントに移行していくメンバーたちの葛藤もとても印象的です。
とても時間をかけて、取材し緻密にまとめたのでしょう。メンバー各員の生い立ちや、メンバーになる経緯まで書かれています。まさに「ドリフ考察本」としてドリフに熱狂していた人にはぜひ読んで欲しい1冊です。
著者の笹山敬輔さんについて、気になって調べてみた。
2005年4月に内外薬品に入社し同取締役就任。2015年4月から内外薬品取締役営業本部長。2016年4月から代表取締役社長。2018年4月富山めぐみ製薬株式会社を設立し代表取締役社長。文学博士号を持つ異色の経営者として、休日に研究活動を行っていたが、2022年に退任。父の笹山和紀は内外薬品前社長らしい。
バリバリの経済人なのに、こんな緻密な取材したような文章が書けるのにただただ感心させられるばかりです。別著に『演技術の日本近代』『幻の近代アイドル史 明治・大正・昭和の大衆芸能盛衰記』『昭和芸人七人の最期』『興行師列伝 愛と裏切りの近代芸能史』
『笑いの正解 東京喜劇と伊東四朗』があり、笑いに関するものが多いようです。機会があったらいつか手にとってみようと思います。
本書を読んで思ったのは、志村けんのコントをもっと見たかった。ほんとに惜しい人をなくしました。謹んで御冥福をお祈りします。