「運転手さん、なんか面白い話ない?」
よく聞かれる質問だという。
「では・・・」
盛り上がり始めてきたときには目的地の「駅」に到着する。
「運転手さん、面白い。もっと聞きたいんだけど」
そう言って目的地を変更する。
「俺の家まで行ってよ」
変更された場所はタクシーで5000円以上かかる距離。
その後、20分ほどの時間をかけて、
タクシー業界にまつわるさまざまな裏話を聞かせたという。
お客さんは、心から楽しんでくれているようだった。
最後は自宅の前に到着したにも関わらず、
10分ほど話を続けたほど。
「こんな話は初めて聞いたよ。面白かった。」
お客さんは笑顔で降りていく。
その姿を見送りながら自信を深めたという。
もっと多くの人にタクシーの裏事情を知ってもらいたい。
きっと喜んでくれるのではないか。
そう考えたのが、本書が誕生したキッカケだという。
血まみれヤクザの乗客の話とか、
今にも死にそうな重病人の脱走を手伝う話とか、
トランクの中に詰まれていた死体の話とか、
社内にゲロされる話とか、
警察もお手上げの「酔っ払い女」の話とか、
ホモの同僚の話とか、
美人女性に誘惑される話とか、
私もそこそこ、夜の街から帰還の時、
タクシーは利用させて頂いています。
運転手さんに敬意を払うとともに、
ネタになるような人間にならないよう、
精進しようと思います。笑
20 th in July / 203 th in 2023