2023年大晦日に89歳で亡くなった女優・中村メイコさんの素顔を、次女の神津はづきさんが初めて綴った、愛情とユーモアが詰まった傑作エッセイ。昭和のドタバタ喜劇を地で行く、ウソのようなホントの話をたっぷりと! 本の紹介にはこの様に書かれていた。
2023年、89歳で亡くなった中村メイコさんの在りし日のことを、娘・神津はづきさんが綴ったエッセイ集といった感じの本書です。Audibleで聞きましたが、朗読も本人です。
母の教えの中で「人の話している内容はモノマネで話す」というものがあり、本書の朗読の中でも、それも遺憾なく発揮されています。
特に、美空ひばりさんとのエピソードを紹介するときは、美空ひばりさんのモノマネで喋ったりしているところなど、とても臨場感がたっぷりです。著者は自分でモノマネが上手だと本書の中で語っていましたが、まさにそれは、Audibleだからこそ、とても感じ取ることができました。
中村メイコさんの印象は、私自身、実はあまりない。(笑)しかし本書を読んで、とても「中村メイコ」という女性に対し、興味をもつことができることはもちろん、とても共感をすることが出来ました。その理由は単純に「酒飲み」だからです。(笑)
「晩年の母の一番の友だちはウイスキー」という節がある。50代まで毎日ウイスキーを1本飲んでいたという。死ぬ日までウイスキーを2日で1本飲んでいたという。なんともすばらしい。(笑)
60代だか70代だったか定かではないが、骨折して入院したときがあり、そのときは禁酒したという。その際に「同じことを何回も言わないことにびっくり」したという。何回も同じことをいうのは、痴呆からきているものだとばかり思っていたが、そもそもの原因はアルコールによるものだった。(笑)
それ以前に、長時間、酔っていない母と接したのは、このときが最初だったという。著者が子宮の手術の際に、母に立ち会ってもらったときがあった。悪い予感しかしなかったが、無事手術が終了した。しかし、病院のベットで腹が苦しくて目が冷めたとき、母が酔っ払って自分の腹に顔を突っ伏して寝ていたという。
紹介したのは、ほんの一部ですが「酒に関するエピソード」が面白すぎて、私なんかまだまだどこにもおよばないと、思わせてくれる内容でありました。
中村メイコさんに、娘と結婚させてくださいと、お願いしにくるエピソードも紹介されています。それはそれでとても笑えたんですが、著者の旦那さんが杉本鉄太さんだということは知らなくて「私をスキーに連れてって」世代としては、それが知れたことに少し満足してしまいました。(笑)