「生徒会長はなぜ男子が多いの?」「女の子が黒いランドセルってダメ?」「理系に進みたいのに親がダメっていう」など。女の子たちが日常的に抱くモヤモヤや疑問に上野先生が答える一問一答方式で書かれています。
「女の子」に特化しながら、社会に潜む差別や刷りこまれた価値観を洗い出し、読んだ一人一人が自分らしい選択をする力、知恵や感性を磨いてほしいという、そんな1冊です。
「婚外子」について書かれているところがありました。日本の婚外子の割合は、非常に低い水準にある。これは、欧米諸国と比較して顕著な差があり、例えばフランスやスウェーデンでは50%を超えるのに対し、日本では2023年時点で2.5%となっている。
日本で婚外子が少ない理由として、結婚せずに同棲する割合が低いことがあげられる。 2020年に実施された結婚・同棲の状況に関する調査において、「結婚していないが同棲している」と答えた人の割合は、スウェーデン32.5%、フランス25.2%、ドイツ23.7%であったのに対して、日本はわずか0.9%にとどまった。
日本では、父親に認知されない場合、法律上の父子関係が成立せず、父親の相続人となれなければ、養育費を請求できない。そして父親の戸籍に入れないなどの問題が生じる。
スウェーデンでは、婚外子(非嫡出子)に対する差別は基本的にない。法律婚のカップルと、事実婚(サムボ)のカップルのどちらに生まれた子供も、同様の権利が保障されている。
特に、スウェーデンの「サムボ法」は、事実婚を法律婚と同等に保護しており、婚外子に対する社会的なサポートも充実しており、児童手当、育児休業制度、保育サービスの利用など、社会保障制度において、法律婚の子供と婚外子の間で区別はない。
離婚やサムボ解消の場合でも、共同養育権が原則となり、養育費の支払いも男女平等に求められる。養育費支援制度も充実しており、養育費の支払いが滞った場合、国が立て替え払いを行い、その後、強制的に徴収する制度まで存在するという。
日本の少子高齢化の議論の中で、「婚外子」を薦めるような政策は聞いたことがありませんが、スウェーデンでは半分以上が婚外子という事実を知り、これを日本でも真似したら良いのではないか。そんなことを感じさせてくれる内容でありました。
本書は「女の子」の悩み相談にのりながら、著者が相談者に「女としてどう生きるか」と指南しつつ、国の制度や私も含むおじさんや、人々の考え方が「女性が好きに生きることを阻んでいる」、そんな社会の図式を解説しています。
私は57歳のおじさんですが、著者のいう「女性が生きにくい社会」を形成している一員なのかも知れないと、本書で読んで感じたので、本書で学んだことを少しでも意識しながら、女の子に接することの出来るような、大人になりたいものです。