本書は途上国の「絶対的貧困」と先進国の「相対的貧困」を比較して、日本の生活困窮者は、どのような状況におかれ、どんな困難を抱えているのか。そんなリアルを紹介しています。
世界第3位のGDPを誇る日本。しかし実際には、「先進国中ワースト4位の貧困国」であるという。その理由は、日本の貧困は、いわゆる途上国の貧困とされる、「絶対的貧困」とはまったく形態が異なる「相対的貧困」であり、貧困という言葉は同じでも、絶対的貧困と相対的貧困は、その性質が大きく異なるという。
現代社会における、本当の貧しさとは何か、希望とは何か、豊かさとは何なのか。そんなことを考えさせてくれる1冊でありました。
識字率がほぼ100%の日本では信じられないが、半分くらい母国語を読めない国の人も世界には存在する。教育はおろか、社会で生活していくために不自由を感じるほど、字が読めないというハンデは大きい。もちろん、お金を稼ぐ手段も限られてくる。
しかし、そのような人たちはコミュニティーをしっかり持っていて、お互い助け合って、なんとか生活することができるが、日本は孤独死に代表されるような、コミュニティーが無いことから突入する貧困が存在する。同じ貧困でも前者は「ワイワイと楽しく」。後者は「ひっそりと寂しく」と、それくらい違う印象です。
火葬するための費用だか、お墓まで遺体を運ぶ費用だか忘れましたが、そのお金を捻出するために、路上でご遺体を広げて物乞いをするエピソードを紹介していました。
インドでは貧困層が、ガンジス川に遺体を捨てるエピソードは知っていたが、遺体を見せ物にしてお金を得ようとするなんて、なんともすごいですね。
さらに、お金が集まらなくなると、場所を移動して通行人に懇願するし、費用以外の自分の取り分も得るため、遺体が腐敗するまでそんなことを繰り返すという。
そんな国に比べれば「先進国中ワースト4位の貧困国」でも別に良いのでは無いかと、思ったのは私だけでは無いでしょう。(笑)
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