AV男優の流儀 / 鈴木おさむ


 著者がAV男優・監督の声を聞くため、森林原人、しみけん、島袋浩といった人気男優からカンパニー松尾監督までに対談取材。それを「SPA!」で短期で連載したが、すべてを伝えることができなかったため、新書として全面加筆され出された本書。

 題材はAVですが、率直な感想は「深すぎて面白すぎた」。自分は見るという行動しかしたことのない「アダルトビデオ」。男優は気持ちよくなり、お金をもらえるなんて最高ではないか。そんな自分の浅はかな考えを、切実に反省させてくれた本書でありました。

 人気男優は月に50本くらい出演するという。1日2本以上のときもたくさんあれば、相手がおばあちゃんでもフィニッシュまで到達しなければならない。その時に必要なのは「妄想力」だという。このおばあちゃんは、老人会では人気者なのかも知れない。手がきれいだ。目がキレイだ。無理なときは「CCガールズ」を思い浮かべればなんとかなるという。(笑)

 私はそれほどAVマニアではないので、上にあげた人で、最近ネットやテレビにも登場する「しみけん」だけはよく顔が浮かぶので、とてもおもしろく読ませて頂きました。

 高校時代までの経験人数は180人。現在は7500人だという。当時ゲイ雑誌の編集者だったマツコ・デラックス氏の後押しを受けてデビュー。最初のデビュー作は、デブ女とシックスナインをしながらうんこをされ、それを食うというものだったという。有名になり、男優として格が上がったため、スカトロモノがなくなって寂しいという。

 基本的に「うんこ」が好き。夢は、女性専用のマンションを作り、その排水管をすべて自分の部屋に引き込むことだという。そんな設計が果たして許可が下りるのだろうか。建設屋としてはそんなことを思いました。(笑)

 AV男優だと家族にいつ伝えたのか。そんなクダリがたくさん紹介されています。ほとんどが、伝えたときには「もうバレていた!」そんな感じです。親戚の人から羨ましがられるエピソードも紹介されていますが、単純にとても大変な職業。そんなことを痛感させてくれる本書でありました。

 もう50代も半ばを過ぎたので、むかしの様に見ることは少なくなりました。今までは、女優にしか注目しませんでしたが、これからは男優もよく観察しながら感謝してAVを鑑賞しようと思います。(笑)

10月9冊目_2024年185冊目