バスドライバーのろのろ日記 本日で12連勤、深夜0時まで時間厳守で運転します/須畑寅夫


 バスと言えば忘れられない思い出があります。盛岡で宴席があった時がありました。私は106急行の最終のバスに乗って帰路につきました。案の定、深い眠りに付きました。

 23時過ぎくらいでしょうか? 妻からの電話で目が覚めました。「いったい、どこさいんのよぉ〜? なんで、帰って来ないのぉ〜💢💢」

 自分の目を疑いました。確かにバスには乗っていますが、周りが真っ暗です。いったいここはどこなんだろう? 目を凝らしてみると、県北バスの車庫(現在のマルイチ)のようです。妻にそれを伝えると、「今から行ぐから、待ってろぉ〜💢💢」優しいお言葉をかけてくれました。

 電話を切ったあとにバスから出ようと思い、出入り口に行きましたが、暗いこともあり開け方がわかりません。それらしいところを、押したり引っ張ったりしても動きませんでした。

 窓から出るしかない。そう決意しガラスをスライドさせ、出ようとしましたが、結構な高さです。そして酔っぱらいです。なんとか脱出してそのまま行こうと思いましたが、窓が空いていたので閉めました。普通の人では閉めれる高さではねぇ〜な。そう思ったのをよく覚えています。笑

 完全に無賃乗車をしたので、県北バスに当時勤めていた、岩手高校の先輩Yさんにお詫びのメッセージを入れてその日は就寝しましたが、次の日は県北バスのTさんからお詫びの電話がありました。とてもいい思い出です。笑

 本書でも酔っ払いの対応について書かれてありました。私は対応してもらえず、無視された。小さい子供とか、お年寄りならまだしも、私は190cmの大男です。私を乗せた運転手は、このあとどんなことがあったのだろう。

 本書で繰り広げられる、運転手と上司のエピソードをみて、そんなことを想像させてくれる内容でありました。

 どんな職業でもそうですが、バスドライバーも大変そうです。県北バスの人に聞きましたが、今は携帯電話があるので、運転手では無くいきなり会社に電話してクレームを言う人が多いという。

 人命をあずかりながら運転し、プラスして客にも気を遣い、会社に戻れば社内の人間関係に煩わされる。好きでなければ務まらない仕事なのではないかと、とてもバスの運転手を尊敬出来るようになった、そんな1冊でありました。

7月6冊目_2024年139冊目