野菜は「生」で食べてはいけない / 奥野修司


 巷では健康や美容のため生野菜をたくさん食べることを、体に良いことだと思っている人が多い。しかし生野菜の摂取は、健康効果の点からはまったくおすすめできないと著者はいう。

 本書の題名通り「野菜は生で食べるな」という著者。その理由と解決策についていろいろと語られています。

 私たちの体は食べたものでつくられている。悪い食べ物を食べれば病気になるし、逆によいものを食べれば健康につながる。

 人が生きていくのに必要な「抗酸化物質」。体内でも合成できるが、十分な量はつくれない。野菜に含まれる化学物質を「ファイトケミカル」というが、種類は一万種を超えており、その多くは抗酸化物質だという。

 ビタミンAやビタミンC、ポリフェノール、イソフラボン、カテキン、ベータカロテンなど。こんな抗酸化物質を大量に含んでいるのが野菜。

 猛毒の活性酸素。がんの「主因」といわれる。抗酸化物質とは「酸化に抗う物質」。簡単に言えば、猛毒の活性酸素を中和して消去してくれる物質。私たちは呼吸によって大気中の酸素を体に取り入れているが、その一部は必ず活性酸素になる。活性酸素というのは、強い酸化力を持った化合物で、触れた物質を錆びつかせてしまう。

 活性酸素はがんの主要原因だといわれているし、がんだけではない。老化や動脈硬化、脳血管障害、高血圧などにも関係しているといわれ、認知症との関係も指摘されている。老化が進むとシミや斑点が増えてくるが、これも活性酸素が主要な原因。

 著者はこんなことを思ったという。「人間はがんになるのに、どうして植物はがんにならないのか。」

 直射日光の下に長くいると皮膚がんになるリスクが高まる。海水浴で日焼けするのもその一種。強い紫外線によって細胞内に活性酸素が発生し、DNAを傷つけるから。しかし、植物は芽が出てから枯れるまで強い日差しの下にいるのにがんにならない。これは大量の抗酸化物質で防いでいるからではないかと思ったという。

 植物は基本的に移動できない。紫外線、ウイルス、細菌、カビ、昆虫などに襲われても、逃げれない。そのためそれらを撃退する武器であるさまざまな抗酸化物質を体内でつくるようになった。

 同じ野菜でも、ハウス栽培の野菜よりも露地栽培のほうに抗酸化物質が多く、大根のような根菜類では、根よりも紫外線にさらされる葉のほうが50倍から100倍多く含まれているという。

 農薬や化学肥料を使って育てた野菜に比べ、農薬も化学肥料も使わず、土壌も耕さずに育てると、抗酸化成分が顕著に増え、。反対に、害虫がつけば殺虫剤を使うなどして“ぬるま湯的環境”で育てると、抗酸化成分をつくる必要がなくなるのかもしれない。

 日本人はいつから生野菜を食べるようになったのか。人類は「火」を発見して以来、野菜は煮るか炒めるか蒸すかで、近代に入って西洋文化に影響されるまで、日本食も煮野菜が一般的だった。

 本来、人間は生野菜を食べるようにはできていない。なぜなら、野菜の細胞を包んでいる細胞壁は硬い物質でつくられていて、人間の胃では消化できない。

 ところが、抗酸化物質のほとんどは細胞壁の内側に入っている。よく噛めば壊れそうに思うが、実際はほとんど壊れない。ジュースやスムージーにしても、思ったほど壊れない。実際、生野菜を食べたあと検便して調べてみると、細胞壁が壊れずに残っているという。一部は腸内で消化されるが、多くは消化されずに排出される。

 野菜に火を通すと栄養が減る。そんなことを聞いたことがある人が多いだろう。牛や山羊が草を食べるのは、胃の中にセルロースを分解する微生物を持っているが、微生物を持っていない人間はどうしたかというと、消化されやすいように煮たり焼いたりしてきた歴史がある。

 消化できないから火を使うようになったのかもしれないが、実際、生野菜を5分ほども煮ると細胞壁をつくるセルロースが簡単に壊れ、細胞の中から抗酸化物質が外に出てくる。野菜の抗酸化成分を効率よく摂るには、加熱して煮野菜、もしくは野菜スープにするのがベストだという。

 昔のロシア人は、冬になるとボルシチばかり食べていたが、もし煮炊きしてビタミンCが壊れていたら、みんな壊血病(ビタミンCの欠乏により起こる病気)になっていたはず。栄養価が減るような心配はせずに野菜を煮ていた。

 著者の野菜スープは誰にでも作れるという。たまねぎ、にんじん、さやいんげん、大根、ほうれんそうなど、好きな野菜を好みでこまかく刻み、沸騰する前に弱火にして30~40分煮るだけ。一日に最低一回、食事の際に、この野菜スープをカップ一杯、毎日飲み続ける。野菜スープが好きじゃない方は、味噌汁にすればいい。

 気にしなければならないのは、野菜が有機栽培なのか。農薬を使って栽培した野菜であれば湯煎すると一緒に農薬も溶け出す。豊富に含まれる葉酸などと一緒に農薬も食べることになる。

 農薬にはどのような影響があるか。体内の活性酸素を消去する抗酸化酵素が著しく減少しし生殖細胞に影響が及ぶ。不妊の原因になるというデータや、ラットでは腸内細菌叢が変わった実験結果もある。炎症を抑える菌が減れば、アレルギーが増える。さらに肥満の原因にもなるといわれている。

 新型コロナでは免疫力がよく話題になったが、免疫力をアップさせるには、腸内細菌の善玉菌を増やすことが重要だという。善玉菌はもっぱら多糖類を分解してエネルギーにしており、多糖類を腸に届けてやれば善玉菌が元気になって増えてくれるという。

 最近の研究では、腸と脳はつながっていて、緊密に連絡を取り合っている(脳腸相関)といわれ、腸内細菌が変われば脳にも影響するという。

 腸内細菌と聞いて私が思い浮かべるのは「ヤクルト」です。とある理由で「ヤクルト」関係者と最近よく会う。笑 コンビニで飲み物を買うとき、基本はお茶を買うが、甘いものを飲みたいときには炭酸飲料を買うときもある。本書を読んでから、炭酸飲料を買うのはやめて、腸内細菌を意識して「ヤクルト&炭酸水」を買うようになった。笑

 先週も会いましたが、今週も「ヤクルト関係者」と会う予定があるので、その時にはこの事実を報告させて頂きたいと思います。笑

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