里山資本主義の現場を歩く: 日本と欧州をつなぐ里山資本主義 / 三浦陽一


 藻谷浩介氏の「里山資本主義」に触発された著者が、持続可能な環境を後世に残すために何ができるかを考え、ペレットストーブ、CLT建築など、森林資源を活用している現場を求めて、国内はもちろん、ロンドン、ミュンヘン、ミラノまで訪問し、里山資本主義がどのように実践されているか。そんな現場の記録が綴られている1冊です。

 日本の森林再生と持続可能な社会作りのため、各自に何ができるか考えるきっかけにしてほしい。読者に対してそんな提案をしている本書といってよいだろう。

 ペレットストーブから始まり、日本ではなぜ普及しないのか。欧州のメーカーを訪問して聞き取りするあたりがすごい。笑

 実際に現地に出向いて体験したからこそわかった、木造高層建築や環境対策など、欧州最新事情も紹介されています。

 里山資本主義に関する本は、過去に数冊読んでいます。人間は食料と水、そしてエネルギーがあれば生きて行くことが出来る。それらを調達するためにお金が必要になる。自ら食料と水、加えてエネルギーを自己調達出来ることができれば、あまりお金は必要ではない。そんな資本主義です。

 日本に豊富な森林資源があることは知っていても、大都市に住んでいる人たちは、自分にはあまり関係がないと考えられる方も多いかも知れない。しかし、私の会社があるところは、田舎でまさに「里山」であり、水や食料もそこそこ自己調達出来るものもあれば、薪ストーブで暖をとっている人も多い。

 もちろん、お金が無くても暮らして行けるというレベルではありませんが、少しでもお金を使わないで暮らす方法。そしてなにより、地域に現存しているが有効活用されていないものが、もっとたくさんあるのではないか。

 それらを使ってなにかマネタイズ出来るものはないか。お金を使わない暮らしとかなんちゃら、書いておいて結局に金に出来るものを探すという。そんなイヤシイ自分を再発見させてくれる本書でありました。

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