読んでいなかった今村夏子さんの短編集。
●白いセーター
彼氏の姉の子守から始まるクリスマスイブ
●ルルちゃん
近所の人形に固執する奥様のハナシ
●ひょうたんの精
急に痩せたチアリーダーの先輩のハナシ
●せとのママの誕生日
スナックで働いた女たちが集まるハナシ
●冬の夜
新米ママと、げっぷしない子供のハナシ
●モグラハウスの扉
工事現場の親切なおじさんと子供のハナシ
●父と私の桜尾通り商店街
もうすぐ店じまいするパン屋のはなし。
どれもこれも、今村夏子さんらしい、何処にでもある感じの世の中にある、少しズレている感じというか、不思議な感じというか、それで妙に笑えたりする感じ。まさに「今村夏子ワールド」全開といった感じでしょうか。笑
最高だったのは「せとのママの誕生日」でしょうか。数多くの女が働き、首になった「スナックせと」の元従業員が集まり、ママの誕生日を祝いに店を訪れるが、ママは寝ていて目を覚まさない。
そこで繰り広げられる「思い出バナシ」が最高です。女には武器が必要だと、デベソを気にしていたホステスに、それを餌に金を集めさせたり、カラオケの合いの手する声が小さいホステスに、大きい声を出させるために「乳首をペンチでつねる」ことを思いつき、うまく行くようになったら乳首が取れたとか・・・笑
そして取ったデベソと、取れた乳首をそのお祝いの席に、持参して来るあたりがすごい。思い出バナシは散々盛り上がって行きますが、肝心のママが目を覚まさない。
そして、ママにみんなでイタズラを仕掛けていきます。
今村夏子さん、どれもこれも最高です。
ご興味のある方は御覧ください。笑
03 th in September / 246 th in 2023