日本型組織のドミノ崩壊はなぜ始まったか / 太田肇

 近年日本のさまざまな大規模組織で相次いで発生した不祥事や崩壊危機を「ドミノ倒し」のように連鎖する現象として捉え、その根本原因を鋭く分析した一冊です。

 旧ジャニーズ事務所の性加害問題、ビッグモーターやダイハツの不正、三菱電機・東芝の不祥事、自民党派閥の裏金、宝塚歌劇団や大相撲のパワハラなど。

 これら一見異なる事例に共通する構造的な弱点を明らかにしているという。日本型組織の特徴は、単なる目的達成のための「目的集団」ではなく、家族やムラのような血縁・情で結ばれた「共同体」としての性格を強く併せ持っている点にある。

 戦後から高度成長期にかけては、この二重構造が「受容」(お互いを広く受け入れる寛容さ)と「自治」(メンバーによる自主的な調整・運営)のバランスで機能し、強い帰属意識と安定を生み出していた。

 しかし、グローバル化の進展、情報化の加速、価値観の多様化、個人の意識変化といった環境の激変により、特に「自治」の部分が機能しにくくなったことが崩壊の引き金となった。

 失敗を避けるための「消去法的利己主義」が広がり、表向きは従うが内心では反対する「面従腹背」が横行し、上意下達の硬直した支配構造が温存されるようになった。

 内部告発が機能せず不祥事が隠蔽されやすくなり、集団への帰属意識が低下した結果、「受容」だけが残った歪んだ共同体化が進んでしまったという。

 著者はこうした崩壊を三つのパターンに分類しています。絶対君主型ではカリスマ的トップの権力が暴走。官僚制型では形式主義と事なかれ主義が不正を助長。伝統墨守型では古い慣習の名の下に理不尽が放置。

 これらが特に2023年頃から一斉に表面化した背景には、コロナ禍による閉鎖性の強化に加え、個人の承認欲求の高まりや個人尊重の意識向上、SNSを通じた外部監視の強化といった変化が重なったことがあるという。

 従来の日本型組織の弱点が、こうした新しい力によって一気に露呈。著者は従来型の日本組織はもう限界を迎えたと断じ、組織から個人への主役交代を強く提言しています。

 具体的には「自営型の個人」を中心に据え、それを支える「インフラ型組織」への転換が必要であるという。これは曖昧なメンバーシップやジョブ型雇用とは異なり、新しい柔軟な支援型組織であり、個人を尊重しつつ目的達成を可能にする「新生」の形だと位置づけています。

 この本は個別の不祥事事例を超えて、日本社会全体の組織構造が抱える制度疲労と、転換期の本質を深く掘り下げた示唆に富む内容でございました。

 私も会社を経営しています。社員の皆さん「自営型の個人」になってください。そうしたら「インフラ型組織」へ移行していこうと思います。そうなった方が、生き残れる確率が高くなるようです。(笑)