出版社の労務課に勤める浜野文乃、45歳の独身女性。10年前に離婚を経験して以来、不安症を抱える文乃は、心の平穏を保つために、食事から服装、一日の行動まで、すべてを厳格なルーティンで固めた味気ない生活を送っています。彼女自身を「生まれながらの臆病者(チキン)」だと認識し、波風の立たない毎日を望んでいた。
ある日、上司の指示で、捻挫を理由に長期間出社しない編集部の平木直理(ひらきなおり)という20代の女性の様子を見に行くことになる。
平木は、ホストクラブ通いをし、奇抜なファッションでスケボー通勤をするなど、文乃とは真逆の自由奔放な「パリピ」タイプ。
最初は平木に戸惑い、苦手意識を持っていた文乃ですが、彼女やその友人たちと関わりを持つうちに、自分の閉ざしていた世界が少しずつ揺さぶられていく。
ルーティンに忠実に生きてきた文乃の日常は、自由な平木との交流によって崩され始め、40代になって諦めていた新しい世界や、恋愛、そして自分自身を取り戻していく、大人の青春物語といった感じだろうか。
ルーティンを愛する40代女性 と、型破りな20代女性の世代を超えた交流 を通じ、停滞していた人生に変化が訪れる様子が描かれています。
完璧なルーティンで自分を縛り、安心を得ようとする文乃の「臆病さ」。文乃がルーティンを崩され、新しい世界へ踏み出す際の、不安と高揚の入り混じった心理というか、変化への葛藤がとても詳細に描かれている印象です。。
「今」を変えることは難しい。新しいことの挑戦するのは、面倒で少し臆病になる。しかし「自分を変えること」で、新しい出会いや発見。#そして成長 がある。そんなことを考えさせてくれる本書でありました。