早見和真さんの作品は本書で、7冊目です。作風の振れ幅がスゴイと言うか、ジャンルも違うし、何でも書けるっていうか。ほんとすごいと思う。
どんな人なんだろうと思って、ネットで色々探していたらインタビュー記事を見つけました。その記事の中で、このようなことが書かれていた。
「私は神童でした。ピッチャーで4番。プロ野球に行くのは私のような人間だと、必然的に思っていた。」しかし、とある天才との出会いで、野球を中心とした人生が終わった。その男の名は「高橋由伸」
高校時代、著者は高橋由伸との同僚生活を経て、物書きになる決心をしたという。流石に7冊も本を読むと、著者に興味が出てくるのはしょうがないようです。では、本書に話題を向けましょう。笑
本書は、田中幸乃(たなかゆきの)という一人の女性が、元恋人の家に放火し、その妻と幼い双子を殺めたという罪で死刑を宣告される場面から幕を開ける。
世間は、不幸な生い立ちを持つ彼女を、元恋人へのストーカー行為の果てに凶行に及んだ「悪女」として大々的に報道し、彼女の過去に起きた事件までも暴き立てて断罪する。
しかし、物語が進むにつれて焦点となるのは、彼女の刑の確定ではなく、幸乃の人生に関わった様々な人物、すなわち彼女の出生に関わった産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、そして刑務官など、彼女を「知る」人々がそれぞれの視点から幸乃との過去が暴かれて行きます。
これらの追想を通して描かれるのは、マスコミが報じる「悪女」のイメージとはかけ離れた、あまりにも哀しい田中幸乃の真実の姿。しかし彼女は、なぜか自ら罪を認め、控訴もせずに死を望んでいるように見えるのは、とあるトリックがあるんです。笑
物語は、幸乃が背負ってきた極限の孤独と、彼女の人生における「無垢(イノセント)」なまでの献身、そして彼女を死刑という悲劇的な結末に追いやった社会の虚偽と背景を鮮烈に描き出し、読者に衝撃的な問いかけをする慟哭の長篇ミステリーです。
極悪女としてオールドメディアから報道され晒される女。しかし、真実はそれとは異なる、無垢と表現される「イノセントな女」。報道の被害者って、いくら騒いでも、報道してもらえないのだろうと、そんなことを思う。
そして本書も調べたら映像化作品がありました。田中幸乃の役は、亡き竹内結子でした。これもとてもデジャブーな感じです。笑
誉田哲也の警察小説「姫川玲子シリーズ」の『ストロベリーナイト』を読了後も映像化を調べたら、姫川警部が竹内結子でした。
幻冬舎の見城徹が小説家に促したという、桜井亜美のベストセラー小説『イノセント ワールド』も、映像化の主役は竹内結子でした。
そういうことで、映像化になった作品の主役別に、逆にそれをチョイスし小説を読むのありなのではないか。竹内結子がワタシ的にはとても不審死だったので、そんなこともありなのではないかと、思ったというだけで、とりあえず締めておこうと思います。笑