淘汰されずに生き残れる強い農業とはどんなものか。農業に関する様々なウソや誤解に対して丁寧に反論し、これからの日本の農業、特に小さな農家に対し、とても具体的な施策を指南している本書です。
恵まれない農家さんを助けたい。そんなボランティア的な精神は、弱い農家を、より弱くしてしまう。農業に関心を持つ学生やビジネスパーソンにとって、手を差し伸べてあげたい。そんな上から目線でみられる対象になっている。
産業化が進む現代の農業は、古い「貧農像」とはかけ離れている。小規模農家では、一つの作業に対し、年に1回しか体験出来ないことが多い。しかし、大規模農業法人では、田植えを例にすれば、個人小規模農家の何十年分の経験値を1年で経験することができる。
その経験値がシステム化出来ていれば、そのノウハウは巨大に積み上がって行く。農家50年のベテランでも、大手農業法人に勤める20代の人材が、田植えの面積を超えることができる。
本の題名どおり、農家が減っても大手農業法人の効率が上がるだけで、減るのは兼業農家。そもそも市場に作物を提供している兼業農家は少ない。そんな感じでしょうか。
しかし著者は、㈱久松農園代表。1970年茨城県生まれ。九四年慶應義塾大学経済学部卒業後、帝人㈱を経て、98年に農業に転身した転職組です。
年間100種類以上の野菜を自社で有機栽培し、卸売業者や小売店を経由せずに個人消費者や飲食店に直接販売するDtoC型農業を実践している、大規模農業法人ではない人です。
そんな中で培ってきた、生産・販売プロセスの合理化と独自のブランディング。経営資源に恵まれなくとも、補助金や大組織に頼らずに少数精鋭のチームが自分の足で立つ「小さくて強い農業」を目指しています。
慶応大学を出て、農家に転身。本を執筆し、講演活動もしているらしい。それくらいのことをするくらいの人なので、優秀なのはとても感じ取れた。
とりあえず、私の会社は建設法人です。笑 農業法人のノウハウを少し知れたので、これからの建設法人をダメにしないよう、何かしらのエッセンスを感じ取れました。畑ゴッコをしている、建設法人の代表者として、なんか不思議な感じの、妙に読んだ甲斐を感じました。笑
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