平等バカ-原則平等に縛られる日本社会の異常を問う- / 池田清彦


 平等と公平は違う。日本は「機会の平等」ばかりに配慮し「結果の平等」が得られておらず、本当に目指すべきなのは「公平」だという。震災の避難所に届く、支援物資を例に例えていた。

 500人いる避難所に毛布が300枚届く。みんなに配布出来ないからと、誰にも配らない。それは食料でも同じ。配布する前に腐らせてしまう始末。

 500人の中には、乳児もいれば高齢者もいる。「機会の平等」にだけこだわり、その線引きをしたがらず、結果を先延ばしにする。

 避難所にいる500人の状況は様々であり、現在の状況は「公平」では無いのにかかわらず、その置かれている状態を公平に向かわせようとする行為を拒む場合が実際に存在する。

 平等バカの根っこにあるのは「嫉妬羨望システム」システムだという。避難所の世話役が公平にしようとすると、羨ましく思うだけなら問題ないが、その決断をした人を批判することがある。世話役は批判されるくらいなら、「機会の平等」を盾にして行動しない選択をする。

 私はロータリークラブに属していますが、ロータリーには「4つのテスト」というのがあり、例会のたびに、みんなで唱和しています。笑

1.真実かどうか
2.みんなに公平か
3.好意と友情を深めるか
4.みんなのためになるかどうか

 避難所の世話役がとった行動は、この「4つのテスト」と、真逆な行動だということに気が付きました。笑 好意と友情も深まらないし、誰のためにもなりません。ロータリーでも「平等」ではなく「公平」という言葉を使っています。次からは、心して唱和したいと思います。笑

 被選挙権から始まり、選挙、税金、教育など。「平等」であることをアピールして世の中にはびこっている「公平でないこと」は多い。

 私も小さいが企業を営んでいるので、従業員に対し、あの人にはこうて、この人にはこうだ。そんな不平等をアピールされるときがある。そのようなとき、あらためて「公平」について深く考えたいと思います。笑

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