すぐ死ぬんだから / 内館牧子


内館牧子さん、「終わった人」に続いて2冊目。

痛快。おもしろい。笑

こんな書き出しから始まる。

年を取れば、誰だって退化する。

鈍くなる。

緩くなる。

くどくなる。

愚痴になる。

淋しがる。

同情を引きたがる。

ケチになる。

どうせ「すぐ死ぬんだから」となる。

そのくせ、「好奇心が強くて生涯現役だ」と言いたがる。

身なりにかまわなくなる。

なのに「若い」と言われたがる。

孫自慢に、病気自慢に、元気自慢。

これが世の爺サン、婆サンの現実だ。

この現実を少しでも遠ざける気合いと努力が、いい年の取り方につながる。間違いない。 そう思っている私は、今年七十八歳になった。 

六十代に入ったら、男も女も絶対に実年齢に見られてはならない。

78歳の忍ハナは、60代まではまったく身の回りに無頓着。

ある日、実年齢より上に見られて目が覚める。

「人は中身よりまず外見」

仲のいい夫と経営してきた酒屋は息子夫婦に譲っているが、

問題は息子の嫁。

自分に手をかけず、貧乏くさくて人前に出せたものではない。

それだけが不満な、幸せな老後。

終活なんて一切しない。

それより今を楽しまなきゃ。

ところが夫が急逝してから、思いがけない裏を知ることに。

息子嫁の描写が最高でございました。笑

小説として楽しめたことはもちろんですが、

それ以上に「老い」と「死」について

とても考えさせられる内容でございました。

最近、娘や嫁から服に気を使えとか、

オシャレになれとか、言われる時がある。

もうそんな年代でないかと密かに思っていた。笑

老いて行くからこそ、身なりに気遣いする。

オシャレにならなければならない。

そんなことを後押ししてくれるような内容でございました。

少し意識して、カッコつけたいと思います。笑

34 th in ​​April / 105 th in 2023