「私」という男の生涯 / 石原慎太郎

1956年大学在学中に書いた「太陽の季節」で第34回芥川賞を受賞。芥川賞で石原が有名になったのではなく、石原が受賞したので「芥川賞」が有名になった。そんな逸話が語り継がれる。

昭和の大スター・石原裕次郎の兄。国会議員として27年。東京都知事として13年。誰もが知る石原慎太郎が、「自分と妻」の死後に出版するために書いたという自叙伝。生前に4度も校正ゲラのチェックを済ませているという。

自分と妻が死んでから出す前提と言うのが凄いが、それは本書を読めば、みな納得する内容であると思います。笑

生い立ちから、学生時代、作家デビュー。その中で繰り広げられる弟の破天荒ぶり。政治家になり、東京都知事まで。そして余生。

これほどまでに、濃い人生を送った人はなかなかいないだろう。

数限りない実績や功績。そして凄まじい行動力。

特筆すべきは女関係だろう。笑

数限りない愛人たち。

その女達と繰り広げられる泥沼。

狂気的とも思えるほど、石原を愛する45歳年下の愛人。

時間軸がはっきりしませんが、東京都知事時代にも

数多くの愛人がいたことが推測される内容です。

中絶させるために女を説得したら、

すぐ違う女が妊娠したり、笑

中絶を説得をする担当の仲間がいたりとか。笑

そしてそれらを許す寛大な妻に最大限の感謝をしていますが、

高峰三枝子に芝居の練習をしたいとベットに誘われたとか。

とにかくモテぶりが尋常ではない印象です。

政界を引退後の安堵なのか、今まで駆け抜けて来た人生の充実感なのか、満足する時の反面、老いて行く自分と、近づく「死」という「未知」に向け、その瞬間を感じたい。

自分はその時どうなっているのか。

そんな葛藤も綴られています。

これほどまでに、内容の濃く赤裸々に自ら書いた自叙伝。

過去になにかあるのだろうか。

著者の残した功績や書物に感謝しつつ、

冥福を祈る意味も込めて、

著者の違う作品を読んでみたいと思います。

11 th in February / 37 th in 2023