30年にも渡る長い間、風俗ライターとして歌舞伎町を見続けていた著者が「新型コロナ」という未知のウィルスが与えた影響により、移り変わる水商売や風俗業界に生きる人達の苦悩について描かれています。
小池都知事に嫌悪感を示した文章が目立ちます。
2020年3月、都内の感染者が1日十数名程度のときに、こんなことを言っていた。
「密閉空間」「密集場所」「密接場面」を避けて欲しい。
感染経路不明患者のうち夜間から早朝に営業しているバーやナイトクラブ、居酒屋などで感染した疑いが高いということがわかっている。
若者にはカラオケ、ライブハウスを、中高年者はバーやナイトクラブなど避けて欲しい。
『換気の悪い密閉空間』『多くの人の密集する場所』『近距離での密接した会話』の3つの密。
感染者の爆発的増加、いわゆるオーバーシュートを回避し、命を守るため、都民の皆様のご協力を改めてお願い申し上げます。
発信力や影響力のある言葉は、連日の様に報道され、夜の街歌舞伎町は翻弄される。
2年半たった今、感染者数は当時と比べ物にならないくらい多いのに。
あの頃の規制はなんだったのか。
「コロナ禍初期=未知のウィルスに対する人々の恐怖感」はどこに行ったのか。
感染者数が拡大した現在と反比例。
連載した記事をまとめた本書の性質上もあるかもしれないが、
コロナ禍発生当時から、著者がこの問題を重要視してその時々における政治家や専門家、コメンテーターらの発言が事細かに記載されています。
長年歌舞伎町を愛してきた著者だからこそ、逆に客観的、冷静な視点でコロナ禍に怯える歌舞伎町の様子を感じることが出来ます。
こんなレビューを見かけました。
新宿で働く者です。
この間、小池都知事の発言を元にテレビなどが新宿歌舞伎町をクローズアップして、新宿こそが諸悪の根源のように毎日取り上げられ大被害を受けました。
本書では、その小池都知事による執拗な「夜の街」への言及が取り上げられ、新宿駅近辺の居酒屋など飲食店が閉店したり、給付金も遅れる中、長期休業を余儀なくされていることが実例で描かれています。
テレビの報道や小池都知事の会見での発言で、「新宿歌舞伎町憎し」になっている人こそ読んでほしい一冊です。
もう、歌舞伎町には30年以上足を踏み入れたことはありませんが、世界に誇る歓楽街です。
歌舞伎町に限ったことではありませんが、夜の街には文化や交流。人間模様など、宝の山だと思います。
それは報道に携わる人達も感じている事実だろう。
今まで犯した「夜の街攻撃」という罪滅ぼしをする意味でも、夜の街を応援どころか、懺悔する報道をするべきでは無いのか。
本書では歌舞伎町をテーマにコロナ禍が与えた影響の、経緯を感じることが出来ましたが、この手の本はたくさんあるでしょう。
すっかりコロナ禍が収まってから、まとめた本を読める日が早く来ればいいですね。笑
18th in August / 229th in 2022