主人公の岩崎早和子は42歳の既婚女性で、夫とモデルの娘がいる家庭の主婦兼会社員。喫煙歴約20年のヘビースモーカーで、1日に何箱も吸うほどの重度なニコチン依存。
現在の日本では喫煙者が極端に肩身が狭い。会社でも喫煙所は縮小され、周囲の目も厳しい。早和子はこれまで何度も「禁煙」を決意しては失敗を繰り返してきた。年に10回は「今度こそ」と心に誓うが、タバコが「心の友」であり、ストレス解消や日常のルーティンと切り離せない存在となっています。
禁煙本を読んだり、禁煙ガム、ニコチンパッチを試したりしても、ことごとく挫折。始業前にわざと気持ち悪くなるまで吸いまくってその日を乗り切ろうとするなど、禁煙を避けるための努力すらしている状態。
そんな中、会社の数少ない女性喫煙者たちが次々と禁煙に成功し、早和子はますます孤立感を強めていく。ついに本気で禁煙に取り組むことを決意し、禁煙外来を受診。そこでは医師やスタッフの指導を受け、禁煙生活を試みますが、見事なまでの即失敗。
本書では、早和子の日常が細かく描かれ、タバコを吸うための苦労(隠れて吸う、言い訳を作る)、吸えないときの苦痛、タバコを吸う瞬間の快楽が描かれています。そして「自分はダメな人間だ」という自己嫌悪がリアルに綴られます。
家族や同僚との関係も絡みながら、禁煙が単なる「健康のため」ではなく、自分自身と向き合うプロセスであることが浮き彫りになります。
そして最終的に、早和子はこれまでの失敗を繰り返しながらも「小学生の自分はタバコを吸っていなかった」ことを思い出し、自分の深い部分にある依存の理由に気づき、強い意志と周囲の支えによって禁煙を成し遂げます。
とにかく主人公のヘビースモーカーっぷりと「タバコの執着」がスゴイです。著者は喫煙者なのか調べてもよくわかりませんが、これほどタバコに縛られた主人公の気持ちや、タバコを吸うための行動をとても詳細に描かれています。タバコを吸う人が読んでも、引くレベルかも知れません。
禁煙を経験している人はもちろん、これから禁煙をしたいと思っている人も、最後に仕掛けがあるので、禁煙のキッカケに出来る本書だと思います。