PRIZE―プライズ― / 村山由佳

 ここ何年か、本屋大賞を楽しみにしています。昨年は「カフネ」だったこともありますが、受賞作が決まると読んで、それが面白いので、ほかのノミネート作品を読んでどれもこれも面白い。そんな体験が出来たので、今年は2月にノミネート作を読んで、4月にどれが大賞になるのか、自分なりに考察するのもいいかと思い手に取りました。

 ノミネート作は10作ありますが、実は1冊読了済みですが、アウトプットはこれが1冊目になります。

 ライトノベルの新人賞でデビューした天羽カイン(本名:天野佳代子)は、デビューからわずか数年で一般文芸に転向し、初の一般小説で本屋大賞を受賞。

 以降、ベストセラーを連発し、ドラマ化・映画化作品も多数生み出す、まさに誰もが認める超人気作家となった。しかし、彼女にはどうしても手に入れられない「もの」が一つだけありました。それが直木賞という栄誉。

 何度も候補に挙がりながら、選考委員からは辛辣な評価を受け続け、受賞だけは逃し続けている。売上も映像化実績も圧倒的なのに、文壇から「正当に評価されていない」という思いが募り、憤怒と執念に燃え上がる。

 「私の何が足りないの?」「何としてでも認めさせてやる」そんな天羽カインの破壊的とも言える承認欲求と情熱を中心に、彼女を取り巻く編集者たち(特に若手編集者の緒沢千紘との関係)、出版業界のリアルな駆け引き、文学賞の裏側、作家と作品と読者のあり方などが描かれていきます。

 「賞(prize)」を獰猛に追い求める作家の姿が、時に怖く、時に痛々しく、時に圧倒的な迫力で迫ってくる、業界関係者が震撼したとかしないとか・・・そんな出版業界と作家の小説です。

 著者自身、2003年に第129回直木賞を受賞しています。20年も前に受賞していますが、また撮りたいのでは無いのかという、執念すら感じさせて頂きました。(笑)

 結果は「受賞しますが辞退する」と結末なんですが、なんとも面白い展開を楽しませて頂きました。著者の作品は初めて読んだので、なにか違う作品でも読んでみようと思います。