最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室 / 林真理子

 主人公の中島ハルコ。中島ハルコは52歳、バツ2の敏腕女社長。自称「いま最もブレイクしているオバハン」で、容姿端麗でおしゃれですが、金持ちなのに極端にケチで、口の悪さは天下一品。そんな破天荒なキャラが魅力の中心に、ストーリーは展開していきます。

 キオスクで週刊誌を立ち読みしたり、東日本大震災時に運送トラックを無理やり自宅送りに使ったりするような、無茶苦茶で厚かましいエピソードが満載です。

 そんなハルコの周りには、なぜか悩みを抱えた人々が自然と集まってくる。物語の語り手は、フードライターの菊池いづみ。いづみはパリでの偶然の出会いをきっかけにハルコと知り合い、翻弄されながらも舎弟のような関係になっていく。いづみ自身も、10年続く不倫関係に悩むアラフォー女子で、ハルコの影響を受けながら成長していく。

 本作のメインは、ハルコが寄せられるさまざまな恋愛・人生相談を、歯に衣着せぬ毒舌と現実的な視点でバッサリ解決していく連作エピソード形式です。

 不倫相手に貸した300万円が返ってこない女性に、ハルコは相談者を叱咤しつつ、相手の男を直接呼び出して脅すような勢いで返金を迫り、無事に回収。きれいごとを排除した実践的なアドバイスで、相談者が自立するきっかけを作る。

 老舗和菓子屋(ういろう屋)の跡継ぎ問題では、家業を継ぎたくない息子と親の対立。ハルコは伝統にこだわる親世代を批判しつつ、現実的な解決策を提案する。最終的に家族の関係が改善され、事業も新たな道を見出していく。

 高学歴女子の恋愛相談では、理想が高すぎて恋がうまくいかない女性に対し、ハルコは「男はロマン、女は太もも」などの独特の持論を展開する。相手のプライドを崩しつつ、妥協の大切さを叩き込み、幸せな着地へ導いて行きます。

 これらのエピソードを通じ、ハルコは決して優しい言葉をかけるわけではなく、相手を罵倒したり図々しい行動を取ったりしますが、核心を突いたアドバイスが的確で、相談者たちは怒るどころか感謝し、ニコニコしながら納得して去っていく。

 ハルコ自身も、林真理子の影を思わせる自立した女性像で、わがままだけど芯が強く、相手を喜ばせる「ギブ」の精神を持っています。全体の結末としては、いづみがハルコとの関わりを通じて、自分の不倫関係や人生の停滞を振り返り、積極的に向き合う姿勢に変わっていく。

 ハルコの嵐のようなエネルギーに影響され、いづみは女性として、人間として一歩前進。新たな道を見つけ、元気を取り戻すところで物語は締めくくられます。

 仕事が出来なければ、ただの「うるさい嫌味ばばぁ〜」といった感じのハルコですが、吐き出す言葉がとても明確で、相手の的を得ていく感じがとても痛快で、とてもたのしませてくれる一冊でございました。

 本書の続編として『最高のオバハン 中島ハルコはまだ懲りてない!』というやつもあるらしいので、次はそれを読んでみようと思います。