成瀬は天下を取りにいく/宮島未奈

 先日、本屋大賞を受賞した「カフネ/ 阿部暁子」を読んだ。その絡みで、授賞式などの動画をみたら、著者が前年度の受賞者ということで登場しているのをみた。さらに今年度も本作の続編「成瀬は信じた道をいく」で本屋大賞にノミネートされているのをしり、こりゃ〜読むしか無いだろうと思い、手にとりました。

 成瀬あかりという中学生の女の子。彼女のまわりの視点で物語は展開していきます。その成瀬あかりのキャラ設定が秀逸なのが、この物語の特徴といってもいいでしょう。

 M-1に挑戦したかと思えば、けん玉の大会で優勝したり、でかいシャボン玉をつくりテレビに出たり。会った人の顔と名前は絶対に忘れない。200歳まで生きるのが目標。圧巻なのは髪を剃って伸びる長さを実証しようとするあたりです。

 成瀬あかりが次から次へと、新しい挑戦をしていく姿にとても引き込まれて行きます。突拍子もない感じはありますが、やろうと思えばなんでもできてしまうのではないか。そんな錯覚と勇気をいただける内容でありました。

 物語の最初から、成瀬は突拍子もないことを言い出します。「この夏を西武に捧げる」。舞台はコロナ禍の滋賀県大津市。その大津市にある西武百貨店が8月いっぱいで閉店することになると、地元のローカル番組が閉店まで生中継を行う。

 成瀬はそのテレビ番組に毎日映り込むことを計画する。昔のズームイン朝の後ろみたいなイメージでしょうか。そこに立つ姿が、西武百貨店なので本の表紙になった西武ライオンズのユニフォームです。

 作中でこんなセリフがありました。

 「たくさん種をまいて、ひとつでも花が咲けばいい。花が咲かなかったとしても、挑戦した経験はすべて肥やしになる。」

 そんなセリフに表現されているように、成瀬は我道を突き進み、様々な挑戦をしていきます。そんな行動力に、50代のおじさんは、大変刺激をいただくことが出来ました。

 「成瀬シリーズ」はこれからどこまで続くのかわかりませんが「200歳まで生きるのが目的」というくらいなので、とても長く続きそうなニオイがプンプンします。それくらい「成瀬あかり」のキャラが素晴らしい。

 今年の本屋大賞にノミネートされた続編の「成瀬は信じた道をいく」は、読む前からもうすでに楽しみです。(笑) 

4月49冊目_2025年119冊目