あなたの物語_人生でするべきたった一つのこと / 水野敬也,鉄拳

 この物語はあるレースを描いた物語です。参加人数は3億人。勝者は1人。様々な障害を乗り越え、たった一人の勝者を決めるための過酷なレース。

 ときに他のランナーを蹴落とすこともあれば、協力して道を作り、助け合ったりもする。しかし、勝者はたったひとり。

 ランナーの正体は男性の精子です。女性の体内に3億も放出された精子の中で、ゴールに辿り着くのはたった一つだけ。

 自分がこうやって現在、生きてる影にはレースで敗れた3億の精子がいた。理屈では分かっているけれど、こうやってストーリーになって客観的に見ると、改めて考えさせられる内容です。

 2021年7月に読んだ「きみが来た場所/喜多川泰」にこんなことが書いてあったのを思い出した。

 両親、祖父母・・・さかのぼって十代前で1024人。三十代前まで行くと、なんと10億人を超える先祖。誰一人欠けても、今の自分はいない。現代の様に、大半の人々がほぼ人生を全うする。そんな世の中ではなく、決して生きるのが楽な時代ではなかったはず。多くの先祖の苦労があり、自分の存在は奇跡的である。

 私が蹴落とした、2億9999万9999個の精子のためにも、10億人の先祖のためにも、少しでも真っ当に生きようと思います。(笑)

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