南杏子さんの本をなにか読もうと検索していたら、南綾子さんという著者をみつけ、題名が気になったので読んでみました。笑
あたたかい家庭がほしいと願いながら、恋人どころか友人もできず空回りばかりしている主人公は、生きづらさを抱えて日々暮らしていた。
悩みを共有できる人がいないか「生きづらさを克服しようの会」を勝手に発足し、勧誘チラシを撒く。すると、モテなさすぎて辛いと話す男性から連絡がきて、話すどころか一緒に暮らすようになる。
メンバーが少しづつ増えて「生きづらさを克服しようの会」は略して「生きづら会」と名前を変え、定期的に開催されその様子や、メンバーに起こるエピソードなど様々と語られています。
私からみるとメンバーは皆、社会不適合者というか、とても交流したくなるような人間ではないけれど、他の人のように「普通」に生きられない悩む男女が不器用に前進していく様子がなんとも不思議でなりません。
この本に出てくる登場人物たちのように、私には「死にたいほどのトラウマ」もなければ、登場する人たちから比べれば、私の人生などとても平凡でつまらないとしか思えないほど、登場する人たちのキャラクターがとてもとんがっています。
こんなキャラ設定や、こんなことを思いつく小説家ってホントすごい。いつもそんなことを思います。
冗談で「死にたい」とか「死にそう」とかはいうけれど、本音で「死にたい」という言葉は、他人に言いづらい。本書でたびたび開催される「生きづら会」では、そんな負のオーラのぶつかり合いで、マイナス☓マイナスでプラスになるというか、出てくるプラスは些細なことしかない。
こういう「どん底人間」たちの本を読むと、私が日常に感じているストレスや不満など、とても些細なことではないか。そして自分は如何に幸せなのか。そんなことを考えさせてくれる本書でありました。笑
11月5冊目_2024年203冊目