おいべっさんと不思議な母子 / 喜多川泰


 不思議な母子はどこからやってきたのか。まさにお見事、驚きのエンディングです。不思議な母子とありますが、とても素敵な母さんと、たくましい男の子のお話です。

 主人公は小学校の先生。新学期の初日、不思議な転校生がやって来ます。その子の名前は、石場寅之助。色あせたTシャツに袴のようなチノパン姿。伸びきった長い髪を後ろに束ねた出で立ちと独特の話し方は、クラス中の視線を集めただけでなく、いじめっ子たちとの争いも招いてしまう。

 トラブル続きで主人公は毎朝、校長室に呼び出され、家でも娘のことでトラブル続き。そこに絡んで来る、不思議な時代劇から飛び出して来たような母子。

 喜多川作品をたくさん読んでいますが、登場してくる人物がみんな深いというか、不思議なつながりがあったりと、最後はドンデンさせられて、あっぱれでございました。

 失敗が見つからない。悪いことしてもバレない。それは運が悪いこと。しっかり後悔することができないから、繰り返し後にもっと大変なことになる。


 失敗しても逃げず後悔し反省することで学びになる。自分の失敗は、素直に受け止められるようになることで、成長することができる。


 習字の先生もいいし、花屋の夫婦もいいし、最後の終わり方も素晴らしい。あまり書くとネタバレになるので書きませんが、是非みなさんに読んでほしい、そんな1冊でありました。

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