消費者金融ずるずる日記 / 加原井末路


 本書は著者が1990年代の半ば、30歳のときにサラ金業界に足を踏み入れ、50歳で退職するまでの20年を、業界事情や裏話、個人的な内容が赤裸々に綴られています。

 私は残念ながら、消費者金融にお世話になったことがありません。むかしクレジットカードのキャッシングで借りた経験はありますが、払っても払っても終わらないリボ払いって、すげぇ〜悪徳だなぁ〜と感じた経験をした程度でしょうか。

 消費費者金融という呼び名はあとから出てきた記憶があります。むかしは「サラ金」という呼び名が一辺倒で、なんか悪徳業者のようなイメージを持っていました。

 実際、本書でも返済が滞っている人に、電話で罵声を浴びせる様子や、家に訪問する様子が描かれています。しかし、終盤は貸金法改正により、借り手の方が強くなり、逆に行政にチクると脅されたり、まさに業界が衰退していく様子が、とても理解することが出来ました。

 著者はサラ金業界から足を洗いますが、なんと著者本人がカードローン地獄に入っており、アルバイトを重ねて金策を頑張りますが、最後は破産してローン返済中のマイホームまで手放してしまいます。

 著者も書いていましたが、現在の給料を35年もらえると考えた自分が馬鹿だったと書いてありました。まあ、最後はハッピーエンドで終わるから良いですが、本当に住宅ローンは怖いです。最近は金融機関によっては、50年まで借りられるプランを提供しているところもあります。もうここまで来ると、貸す方も馬鹿ではないのかと疑うレベルですね。笑


 この素人と思われる著者が書く日記シリーズは、何冊も読んでいますが非常におもしろいものばかりです。「某月某日」から始まる文面により、あまり時系列も無視してあるあたりが、素人とでも成り立つ工夫なのかもしれませんね。

 私も「建設会社社長ぼろぼろ日記」とか「除雪運転手あるある日記」とか「毎日晩酌ダメダメ日記」とか、気が向いたら書き溜めておこうと思います。笑

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