土を育てる: 自然をよみがえらせる土壌革命 / ゲイブ・ブラウン


 農業系の本で初の翻訳本を読んだ。翻訳されるだけのことはあるというのが、率直な感想です。翻訳本は翻訳して海外に売り込むくらい価値があるので、本のチョイスに迷った時は、翻訳本を選ぶといいと、勝間和代の本で書いていたのを思い出した。笑

 リジェネラティブ(環境再生型)農業の、第一人者による初のノンフィクションだという。

学生の時から農業に従事希望で、ある農場を手伝うようになり、その農場の娘と結婚する。事業を引き継ぐが、4年続いた凶作の苦難から金銭的に買えなくなる化学肥料や農薬。売ってお金を工面しなくてはならなくなった農機具。

 そこで出会った「不耕起」で行う農業。慣行農業に疑問を持ち、自然界には土がむき出しになった場所など存在しない。掘り起こすことで、土にダメージを与えているのではないか、そんな疑問を持つようになる。

 私も畑を少しやっていますが、畑に作物以外の緑があると、サボっているというか、管理が悪いと思うし、思われるのが嫌なので、対外的に管理しようとします。しかし、それは自然界を人間好みに改造しようとしているだけで、土を育てるという概念からすれば、間違った行動なのではないのか。そんなことを考えさせてくれました。

 著者が声を大にしているのが「カバークロップ」です。カバークロップとは、土壌浸食を防ぎ土壌中に有機物を加えて土壌改良に役立つ作物を総称して「カバークロップ(被覆作物)」と呼ぶ。カバークロップには、土壌の物理性改善、センチュウの防除、天敵の保持・増殖など多くの機能があることが知られています。緑肥作物やリビングマルチ(植物マルチ)もカバークロップに含まれる。

 土を育てるという点から見れば、畑が土むき出しの期間を少しでも少なくすることが良いと著者は説いています。作物を収穫したあと、次のシーズンまではナニもしない。それは絶対避けるべきであり、収穫したあとも「カバークロップ」を植えて、連作障害も含め次のシーズンに準備するべきだと言っています。

 著者は不耕起農業を進める過程で、牛を飼いはじめ、それを有効活用するプロセスが綴られています。最近、牛を飼っていて農業にも参入しようとしている人と知り合いになりました。本書をぜひプレゼントしよう。そんな風に思わせてくれる本書でありました。私には牛のハードルは大きいので、カバークロップ&ニワトリでも検討したいと思います。笑

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