ロッキード / 真山仁


 角栄はなぜ葬られたのか? 新証言と膨大な資料を駆使した人気作家渾身の超弩級ノンフィクション。そんな本書のキャッチコピーです。

 私の年代でニュースとかを見て、うる覚えしているのは、福田赳夫首相くらいからです。調べてみたところ、昭和51年12月~昭和53年12月の在任です。

 では、田中角栄はと思ったら、昭和47年7月から昭和49年12月、2年5ヶ月とそれほど長期政権というわけではない。

 しかしその後、政界を牛耳っている印象がある。田中角栄から始まったと言われる「金権政治」本書ではその後継者、竹下、その後を引き継ぐ小沢。そんな記述がある。その金権政治は小泉の「自民党をぶっこわす」で、消え去って行った。

 私は昭和49年はまだ小学校に入る前なので、田中角栄が総理だった印象どころか、政治に関しては全く記憶がありません。しかし、この手の近代史系の本を読むと、自分の年代と対比すると、とても興味が湧いて来ます。

 田中角栄の前首相は佐藤栄作です。昭和39年11月から昭和47年7月と、8年弱首相という立場に長期君臨している。

 著者の仮説にこんなことが書かれていた。ロッキード贔屓は佐藤栄作の申し送り事項。アメリカに対し、佐藤栄作はどんなことを犠牲にしても成し遂げたいことがあった。

 それが「沖縄返還」昭和47年5月。佐藤栄作総理時代の最後に実現した。そして佐藤栄作は昭和50年に逝去している。ロッキード事件に関する追求はなにも受けていない。

 本書では「ロッキード」をテーマに様々と語られています。自民党の長期政権の功罪もあれば歪みもある。金権政治、日米関係、政治と検察庁の関係。

 出る杭は打つというそんな社会。そしてそれらを後押しする、熱しやすく冷めやすい国民感情。

 田中角栄に関する本は何冊か読んでいますが、本書を読んで一番感じたことがある。「天才/石原慎太郎(著)」という、一人称で描かれた小説がある。その小説が如何にすごいか。そして石原慎太郎がどれだけすごいか。そんなことを再認識させてくれた本書でありました。

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