ジャイアント馬場が率いた全日本プロレス。
アントニオ猪木の新日本プロレスと常に比較され、
「事件」が少ないリングと捉えられていた。
しかし、王道はリングにある。
そんな信念のもと、実は内に秘めた選手個々人の主義主張がぶつかる刺激に溢れていた。
そんなエピソード満載の本書です。
天龍の目覚めから寡黙なヒーローへ。
鶴田の鬱憤と葛藤。
三沢の自己変革。
外人頼りと言われた批判。
天龍革命という名の寡黙な、デモクラシー。
SWSという黒船への大量離脱。
マスクを川田に取らせた三沢の思考の変化。
80年代から90年代にかけた激動のリング。
そんな王道を再確認出来ることが出来ました。
ジャンボ鶴田とジャーマン・スープレックスについて触れているところがあった。
新日にジャーマンを出来る人は多いのに、
全日では出来る人が少ない。
そんなクダりから始まる。
なぜ出来ないのか。それは否定路線で始まるインタビュー。
ジャンボ鶴田いわく・・・
ジャーマンはね、僕らの身長でやるのは、なかなか難しいんですよ。新日でいえば坂口さんがやるようなもんだし。身長が高いとね、本当に難しいんだよ。タイガーマスクとか、あのクラスなら結構ラクなんですけどね。
受ける方もそれなりの覚悟で来てもらわないと。高いところから落としますからね。ケガする可能性も強いですよ。危険ですよ。前田が僕と同じくらいの身長だけど、彼のジャーマンより、僕のは落差が大きいと思いますし、ケガをしたときはあなたたちキチンとしてくださいね。イヤ、ホント、笑い事じゃなくて。体重の重いレスラーだと、こっちが本気になってガーンと落とせばイッちゃいますよ。首の骨折れたとか・・・そういう場合は週プロさんで、補償金出してくれるんでしょ?
私も当時そんな印象を持っていた。
新日はみんな、ブリッジできそうなのに、
全日で出来るやつはいない。
そんなイメージは少なかった。
一番できそうなジャンボ鶴田は、パワーファイターで、そんなイメージが薄かったが、自分の操るジャーマンが危険すぎるがゆえ、封印している技であると言うことを知ることが出来たのは、本書を読んだ甲斐があったと言うものです。笑
晩年のジャンボ鶴田の代名詞と言っていいバックドロップホールド。
相手のレベルにより角度を調整し、
投げていたと言う。
自分の知っているプロレスより、
もっと深い世界が存在する。
そんなことをとても感じさせてくれる1冊でありました。笑
08 th in November / 294 th in 2023