大学卒業後、ある消費者金融会社で働いた著者が、
入社一年目の実体験をもとにした物語です。
「ヤクザがついている」とサラ金社員を脅す債務者とか、
法律で認められている紹介業者の実態とか、
スポーツ新聞の広告から始まる低金利をえさに集客する業者とか、
自分は思いもしない、
そんな手口が、この社会には存在するのか。笑
本書では「不動産担保ローン」を働きかけて、
借金のとりまとめをおこない、
債務者をハメて行く術が詳細に綴られています。
保証人と連帯保証人の違いも知らず、サインする人達。
銀行、役所のいい加減さ。
著者はあとがきでこのように書いています。
大学卒業後、消費者金融に2年4ヵ月ほど働いて辞めた。仕事はおもしろかったし、営業成績は常にトップで、このわずかな期間で総額十億円もの融資を行った。平均金利は約15%。会社に高金利という驚くほどの利益をもたらし、そして自分のボーナスや給料も上がった。でもそれは債務者が毎月、返すお金から支払われている。自分が担当した一人ひとりのお客さんの顔が思い浮かぶと、どこか心苦しく、一生する仕事ではないなと思った。
新入社員研修で一緒になった8名の大学卒男性社員のうち、わずか入社1ヵ月で6名が辞めていった。それを見越してか、会社は250名もの社員を雇っていたので、人員計画に狂いはないようだ。辞めた理由は人によってさまざまだが、結局、この仕事を続けていくモチベーションを見出すことができなかったのだろう。はたから見れば、大量に新卒社員を採用し、毎年、驚くべき成長を遂げる注目企業ということになるのだが、実際に働いてその実態を目にすると、やっていけなくなってしまう。
本書に書いたようなサラ金の実態を話すと、誰もがおもしろがって話を聞いてくれた。ほとんどの人がその実情を知らないからだ。「これは危険なことだな」とその時、感じた。いつか実態を知らない多くの人が、愛らしいCMキャラクターに騙され、転落した人生を送ってしまうのではないかと。そう思って、サラ金での実体験を書くことにした。
本書が、消費者金融業界に限らず、借金をするということそのものに対する日本社会の環境そのものを考え直す一つの参考になれば幸いだ。また、就職先・転職先として消費者金融を考えている人々や、軽い気持ちでサラ金に手を出してしまう人々が、業界実態を認識していただく一助になれば幸いだ。
今や金貸しは、消費者金融だけでなく、銀行やIT企業などもこぞって参入している状況を見るに、新たな悲劇を生まないためにも本書が何らかの役に立てばと願っている。
もちろん、役にたったし、大変勉強になりました。
ありがとうございます。笑
1 th in June / 150 th in 2023