孫正義 起業のカリスマ / 大下英治


IT企業の雄・孫正義。少年時代から「1番」にこだわり、高校中退後、単身渡米。猛勉強するかたわら、大学生ベンチャー起業家として活躍。

20代で日本初のパソコンソフト卸業を立ち上げ、斬新な発想と抜群の行動力、大胆な企業買収で事業を拡大。40代で傘下企業800社を擁するソフトバンク・グループを築きあげた。

「死ぬまで青くありたい」

挑戦しつづける起業家の夢と冒険に満ちた痛快な半生が綴られています。

2005年刊行ということもあり、新しめのものは書かれていませんが、その分、若い頃のとても興味深い、エピソードをたくさん知ることが出来て有意義な1冊でありました。

渡米後、校長に直談判して飛び級したり、大学入学資格試験で、試験官に楯突いてルールを強引に変更させたり、大学時代に会社を作ってインベーダーゲームでひと儲けしたり、やることなすことが常人離れしているというか、しつこさと行動力が凄まじい。笑

そして、これほどビル・ゲイツと親しくしていたのかという、エピソードもたくさん紹介されています。

孫正義がヤフーが駆け出しのときに投資したのは有名なハナシです。そのアドバイスをしたのがビル・ゲイツだったらしい。笑

ヤフーが公開したあと、孫はビル・ゲイツらからこう言われたらしい。 「ヤフーが、こんな価値になるとはわからなかった。よく、マサは、投資したね」

本書では他にもたくさんの、M&Aのやりとりや資金調達の方法が詳細に綴られています。共通して感じ取れたのは、孫正義の人間力と情熱、志の高さがあったからこそ、成し遂げられたことだったのだろうと、感じ取れることが出来ました。

日本ではまだまだM&Aというと「会社の乗っ取り」のようなイメージがある。M&Aをくりかえしている孫正義は、策士というか、とても強引な手法を多用しているのかとなんとなく思っていたが、全然違っていた。

単純に、自分の信念、意気込み、自分と組めばあなたに取ってプラスになる。それを、熱く、熱く、熱く、これでもかと熱く、語り尽くして理解してもらう。そして人間としても尊敬を得られる段階まで持ち込んでいく。

これはM&Aだけではなく、資金調達の場でも同じ印象です。

​​日本の携帯電話も含めたITインフラが現在の状況まで来ているのは、彼の功績が大きいことが、私の思っていた以上であることを知ることが出来ました。

本書を読めば、自分もなにかしなければ。そんな危機感をもらうことが出来るでしょう。ただ、本書に書かれていることに比べれば、自分のしていることが如何にちっぽけなことなのか。

同時に自己嫌悪もできると思います。笑

23 th in May / 129 th in 2023