伊良部秀輝 野球を愛しすぎた男の真実/団野村

150キロ台後半の剛速球。日本プロ野球界を代表する投手だった伊良部秀輝。次の活躍の舞台として希望したニューヨーク・ヤンキース。

傲慢、不遜とマスコミからバッシングされつづけた伊良部秀輝の真実の姿。明らかにしようとしている1冊です。

著者は、伊良部の代理人として、ヤンキースへの移籍を成立させた代理人の団野村。ダルビッシュ有のメジャー移籍を成立させた日本を代表するエージェント。

42歳にしてこの世を去った伊良部秀輝。

自殺に関する本を何冊か読みましたが、これこそまさに「衝動的な自死」だったのだろう。そんなこと思わせてくれる内容でありました。

マスコミの報道は伊良部に対するバッシングだらけ。しかし本書で感じ取れるのは、これほど繊細な男だったのか。これほど考え抜かれた投球術だったのか。

投手の本は何冊か読んだ。桑田真澄。江川卓。吉井理人。江夏豊。上重聡。大谷翔平。大した人数では無いけれど、この中では一番、伊良部が理論派だったのでは? そんなことすら感じることが出来ました。

そして一番思ったことは、態度、風貌がゆえのマスコミの被害者だったということは特筆してもいいだろう。

伊良部が飲み屋で暴力を振るって逮捕されるという出来事があった。私もなんとなく記憶がある。しかし、実際は伊良部がカードで支払いをしようとしたら15分以上も、カードを持ってこない。スキミングされていた経緯があったという。

本書に書かれていることが、どれくらい真実なのかはわかりませんが、メディアのダメっぷりをとても感じさせてくれる1冊でありました。

40 th in November / 345 th in 2022