30年を超える取材経験をもつ「ヤクザ記者」の著者が見た、表の世界を食い物にする、ヤクザの巧妙な手口。芸能界や政財界にとどまらず、官僚やマスコミ、そして一般社会にまで浸透し、カネを集める仕組みが存在する。
1章、裏社会と「スポーツ界」
2章、裏社会と「芸能界」
3章、裏社会と「政界」
4章、裏社会と「経済界」
5章、裏社会と「警察」
6章、裏社会と「マスコミ」
7章、裏社会と「風俗界」
ほぼ、社会全体を網羅していました。笑
あとがきで著者はこのようなことを述べています。
私の知り合いの指定暴力団の大物幹部が「いかに警察の取り締まりが強化されても、われわれは必ず〝抜け穴〟を発見する知恵を持っているし、シナリオもある」と豪語したことが、いまも頭から離れることはない。
裏社会の組織維持に対する彼らの研究や学習は驚くほど高度で、組織への忠誠も極めて強固だ。それが裏社会の哲学、美学であると同時に、結束力の源泉といってよい。
そして、裏社会による表社会、一般社会への侵攻は、時代とともに潜在化して、さらに巧妙化しながら拡大しており、その悪の牙の被害に遭遇しないために、本書が少しでも役に立てば望外の幸甚である。
これほど世間では「反社会勢力」に対する資金提供を禁止しているにも関わらず、裏社会は無くならない。それらは所詮うわべだけの建前であり、本音というか社会を形成してきた仕組みとして「裏社会」は切っても切れないどころか、世の中から無くならないのではないか。そんなことを考えさせられる本書でありました。
芸能人や芸能プロダクションの巨額脱税事件は、必ずある程度の頻度で発生する。芸能人の薬物使用に関するニュースも、なくなることは無い。
脱税した資金の用途がはっきりした事件はないし、薬物はもちろん売主にカネが流れるのは当たり前。脱税も薬物利用も、社会から大きな制裁されるという事はみんな理解しているはずなのに、何巡も繰り返して発生する。
一般人の犯罪により裏社会にカネが流れる仕組みは想定内。そんなことを感じさせてくれる内容でありました。
これから「脱税」した人や「薬物」で捕まる人に対し、今まではダメ人間のレッテルを張っていましたが、本当は裏社会の犠牲者では無いのか。そんな目で見るよう、温かい心を持とうと思います。笑
13 th in November / 318 th in 2022