嘘みたいな本当の話みどり/日本版ナショナル・ストーリー・プロジェクト

2011年1月から9月にかけてと、12月にWEB文芸誌『マトグロッソ』上にて募集、発表された「嘘みたいな本当の話」を収録したものです。

内田樹さんと高橋源一郎さんが応募作品の中から選んだということで、両者がまえがきと、あとがきを書いています。

出だしから私にとって、とても惹きつけられる内容だったので、コピペします。笑

私が会ったなかで、いちばん酔っぱらっていた人の話

『ダイスケの馬鹿!』 

私は、駅員のアルバイトをしている。

ある寒い夜、終電間際にホームを巡回していると、突然腕をつかまれた。振り返ると、ベロンベロンに酔っぱらった女の人がいた。  

黒のコートを着て、茶色のブーツを履いた二十代後半くらいの女性だ。もともとはまっすぐできれいな髪なのだろうが、飲んだあとだからか、ボサボサになっている。また、彼女のつけまつげは半分くらい取れかかって、明らかに視界の邪魔になっていた。 

彼女は泣き始めた。そしてこう言った。 

「なんで、ダイスケは私のことを見てくれないの」

困った。私はダイスケでもないし、彼氏なんかでもない。慌てて、 

「お客様、困ります。次の電車が最終電車になりますので、気をつけてお帰りください」 と答えた。  

しかし、彼女の泣き声はおさまることがなく、さらにこう言われた。 

「それなら、電車乗る前にキスしてよ」  

こんな事態は、マニュアルには載ってない。周りに誰も人がいないのが救いだったが、どうにもしようがない。何もできない。

そこに、電車がやってきた。 

「ダイスケの馬鹿っ」  

彼女はこう言い放ち、最終電車に乗っていった。  

なんだか失恋した気分になってしまった。 

東京都 佐々木浩人

こんな話が24話ほど紹介されています。

私はダイスケという名前です。こんな酔っぱらいに遭遇したらどうしただろう。キスくらいしてあげたのでは無いか。そんな訳のわからない妄想をしてしまいました。笑

高橋源一郎さんが関連する本を初めて手にしたような気がします。みなさんは、高橋源一郎さんを知っていますか。室井佑月さんの最初の旦那です。高橋さんにとっては4人目の妻だったという。昭和の文豪って感じで、なんか興味が出てきました。

高橋源一郎さん、なにか読んでみましょうかね。

36 th in October / 304 th in 2022