あひる /今村夏子

わたしの家に父が譲り受けた「のりたま」というあひるがやってきた。静かだったその家には、子どもたちが集まるようになった。母もそんな様子を嬉しく思い、家に入れたりお菓子を振る舞ったりするようになる。しかし体調を崩した「のりたま」を病院に連れて行くと、子どもたちは集まらなくなってしまう。2週間後に帰ってきた「のりたま」は少し違っていた。子供たちはまた集まるようになり、母の歓迎もどんどん増していく。

こんな物語ですが、なんとも独特の世界観を持っています。レビューを見ると様々な言葉で著者の文章を例えています。私も全て当てはまる様な気がします。

ぼんやりしている。

不思議な感じ。

違和感がある。

よくわからない。

不穏な雰囲気。

奇妙だった。

ザワザワする。

真意がわからない。

一体何だったのか。

一番的を得ているのでは無いかと思った形容で「うたた寝で見た悪夢」と例えている方がおりました。私も特に本をたくさん読むようになってから「変な夢」をたくさん見るようになった。笑

とても刺激的な出来ごとが、ありえない人物の組合せで起こる。そしてそれら全ての時間軸がズレている。

「辻褄が全く噛み合わない夢」

そんな物を見た後の様な読後感です。笑

とにかく登場人物がみんな怪しすぎる。笑

勉強するけど試験に受かる匂いは全くしないわたしとか。

たまにお祈りする父と母とか。

家に出入りする変な子供とか。

息子に家族で説教される家族観とか。

まさに、今村夏子恐るべし。

大変良いものを読ませて頂きました。笑

25 th in October / 293 th in 2022