片付けをテーマにした短編集。
「片づけ屋」が様々な問題を抱える4人と出会い、その部屋の要らないものを片付けながら、その人の心にあるわだかまりをほどいていくものがたり。
社内不倫に疲れた30代OL。
妻に先立たれた老人。
子供に見捨てられた資産家の老女。
一部屋だけを掃除する汚部屋主婦。
どれもこれも興味深く読ませて頂きました。
印象に残ったのは「資産家の老女」です。「片付け屋」は私の様な几帳面には不要とばかり、とても片付けてはいるが、そこは「300坪の豪邸」に収めているので、とにかくものが多い。
「片付け屋」と「老女」のやり取りが、非常に面白い。笑
「これはいらないんじゃないか」という「片付け屋」に対し、必要な言い訳を繰り返す「老女」。そんなやり取りが続く。その連続して次から次へと物が出て来るあたりが、本当に物が多いことが想造出来る。
こんな本を読んでいる最中、近所の老人から「家の中の物を処分したい」という相談を受けた。お宅にお邪魔すると「資産家の老女」の家と同じ「新品の炊飯器が３台」あり。なんともタイムリーでリアリティ。笑
私は物をあまり集めようと思うタイプでは無い。無くても済むことが多いと思っている。置くところが無いのなら、そのものは要らないと思う方です。
しかしパートナーは「物があるなら入れ物を買おう」というタイプ。断捨離とは程遠いタイプです。笑
やりたくても出来ない片付けも世の中にはあるのです（笑）
生きるほど様々な悩みが増えていき、人前ではきちんと出来たとしても、その反動で家に帰ると堕落する。部屋を一時的に片付けるだけではなく、堕落する原因を取り除かなければ、逆戻りになってしまう。とても考えさせられる１冊です。
ゴミ屋敷、不倫、未婚女性、独居老人、空き家問題、マザコン、育児放棄、介護など。垣屋美雨さんいつもの様に社会問題を考えさせてくれます。
本書は垣屋さん、７冊目。いつまで続くのでしょうか。笑
17th in October / 285 th in 2022