七十歳死亡法案、可決/垣谷美雨

高齢者が国民の3割を超えた日本。社会保障費は過去最高を更新し続け、国家財政は破綻寸前。そこで政府は大きな決断を下す。

「日本国籍を有する70歳以上の国民は誕生日から30日以内に死ななければならない」

2年後に法律の施行を控えている日常を描写する物語です。

姑の介護に追われる嫁。それに反して、家のことはすべて妻に任せきりの夫。一流大学を卒業しながら引きこもりの息子。ひび割れかけた家族から逃げ出した娘。そして寝たきりでわがままな介護される祖母。

血を分けた家族なのに、愛し合って結婚したはずなのに。「家族」という「仕組み」や「かたまり」について、非常に深く考えさせてくれる内容です。

70歳になったら死ななければならない。

そんな縛りが有ることにより、浮き彫りにされる、

介護、引きこもり、男の勝手さ、夫婦関係、親子関係、男女の青春、派遣に関する就職事情、そして、仕事すると言うことのすばらしさ。

読んでいる途中には、とてもパッピーな結末は微塵も感じませんが、最後はこれほどみんなハッピーになれるのかという結末。もうもう、垣谷美雨さん、あっぱれです。

最近、垣谷美雨さんブーム到来です。

うちの父が運転をやめません

うちの子が結婚しないので

老後の資金がありません

四十歳、未婚出産

定年オヤジ改造計画

アウトプットするのは6冊目ですが、あと1冊読了済みです。どれもこれも、面白い物語の中に「社会問題」を提起し、読者に考えさせてくれる内容です。

社会問題の本質を知ることはもちろんですが、ニュースなので上辺の問題を知ることなどより、その背景に有る人間模様を感じることで興味も出るし、深く考えることが出来る。とても自分にとって有意義で、満足感のあふれる読書となりました。

「垣谷美雨ヌマ」完全にハマりました。笑

16th in October / 284 th in 2022