爪王・北へ帰る/戸川幸夫,矢口高雄

鷹匠のお話と、マタギの飼う猟犬の2本立て。

お見事。感動。そしてお涙、頂戴です。笑

私はどちらかと言うとペット肯定者ではない。

ペット好きの人には否定されるかもしれないが、自分の生命の楽しみとして、他の生命を利用する。かわいいことは理解するが、自分の食する生命と何が違うのか。そんなイメージで思っている。

しかし本書で登場する「鷹」と「犬」には大変心を奪われた。

「鷹」の生体から特徴、飼い主との絆。狐にヤラれてからの復帰。敵討ちまでたどり着くため、飼い主との絆から執念まで。とても、深く知ることが出来ました。

戸川幸夫さんの別著も読んでいるせいもあると思いますが、文字が漫画になった感じ。もちろんフィクションが含まれているとは思いますが、鷹と飼い主。そして大自然との関係。マタギは山の狩猟者。そんな単純な言葉で表せるようなものではないと言う、深い世界を垣間見ることが出来ました。

そして「北へ帰る」という、狩猟犬のお話。主人が狩猟の最大限の友として頼る犬。その犬に惚れて、東京から買付に来るブリーダー。金に糸目はつけないと言う。主人はもちろん売る気はないが、不運にも妻が病に伏してしまう。貧しい主人は愛犬をお金に変えてしまう。

300kmも離れた東京に連れて行かれる愛犬。逃げるチャンスをものにして、都会の幻想を後にする。そして沢山の試練を掻い潜り主人にたどり着く。

まぁまぁ、フィクション感はあるのだけれど、ペット好きでもない私でも、お涙頂戴、感動です。笑

ペットが好きな人はもちろん、私の様にあまり生き物に関して興味がない様な人間でも、とても興味深く感じ取れると思います。

また、マタギに関する本はだいぶ読みましたが、普段食している生命と言う事について、考えさせられる内容です。

山の動物の命を奪って食する。

そんな事柄に対して「可愛そう」と思う人が多い。

しかし、自分の食生活はどうなのか。

この手の本はいつも感じるのですが、

「生命を食する」と言うことについてとても、考えさせてくれる。

そんな1冊でありました。

26 th in September / 264 th in 2022