デザインが日本を変える 日本人の美意識を取り戻す/前田育男

マツダ関連4冊目。

1冊目は、元会長である金井氏との対談本。
「マツダ心を燃やす逆転の経営/山中浩之」

2冊目はSKYACTIVエンジンの開発責任者。
「答えは必ずある-人見光夫」

3冊目はブランディングの専門家からみた
「マツダがBMWを超える日/山崎明」

そしてこの4冊目は「魂動デザイン」を引率した
デザイン本部長を経て現在、常務執行役員の著者。

VISION COUPE
RX-VISION

その姿をぜひ検索して確認してほしい。

2台共「国際自動車フェスティバル」において

「モスト・ビューティフル・コンセプト・カー・オブ・ザ・イヤー」

世界で最も美しいコンセプトカーという称号をもらっている。

そのデザインを率いる著者。

マツダブランドの全体を貫くデザインコンセプト「魂動」

デザインを言葉にしなければならないと

1年がかりで生み出した言葉だという。

mazdaのデザインには、

ものに命を与え、魂を吹き込む。

そのテーマを元に作り上げた「ご神体」と

呼ばれるオブジェがあるという。

検索するとたしかにたくさん出てくる。

お神酒まで添えてあるものも存在し、

たしかに神様のように祀られています。笑

マツダデザインの思想やエピソード、称賛など、

いろいろ本や記事でみたことがありましたが、

印象的なことがありました。

デザインを統括して率いる著者が、

「やられた!」と思ったことがあるという。

個人的に参考になったのはボルボの動き。ボルボはマツダと同じく90年代末にフォードに買収され傘下入り。マツダと同時期にフォードから離れた。一定期間を似通った境遇ですごした親戚のような存在だが、彼らがフォードから離れたときにまず何をやったかと言えば、自分たちの原点探し。

メイド・イン・スウェーデンということにフォーカスして、スカンジナビアン・デザインというコンセプトを打ち出してきた。ボルボはもともと安全性能をブランドの支柱として掲げているメーカーだが、そこにデザインというものが付け加えられた。

彼らはスカンジナビアン・デザインの特徴として、スウェーデンという国に昔から流れる自然との調和、クラフトマンシップへの敬意、丹精なものづくりの姿勢などをアピールしてきた。

 そのコンセプトカーを見たとき、私は「やられた!」と思った。彼らは原点に戻ろうとしている。ボルボはフォード傘下にいたとき、スポーティでスタイリッシュな方向性を目指していた。それは今風のカッコよさは備えていたものの、ボルボらしさは希薄。しかし彼らは外資の縛りから解き放たれたとき、自分たちのルーツを見つめ、そこに回帰しようとした。スカンジナビアの文化を車に注ぎ込もうとした。

たとえ時流とはかけ離れていても「それがボルボなのだ」と言わんばかりに。「ボルボはボルボ、われわれはスウェーデンの車会社なのだ」と高らかに宣言するように――。

それは、当時著者が思い描いていたブランド戦略とぴたりと一致するものだったという。

ここ10年くらいで街で走るボルボを多くみる様になった。

たしかにかっこいいし独特の世界観がある。

メルセデスやBMWとは違う。

なにか一体感というか世界観がある。

マツダ車がここ10年で増えた様に、

ボルボ車が増えたのに共通点を見いだせたような気がした。笑

マツダの次世代デザインは日本的美意識。

デザイナーには書道や彫刻伝統工芸など、

何でも取り組ませ、

この国の歴史、感性、創造性、精神性。

そういうものを深め世界の名だたるメーカーと戦うために

日本という国のバックボーンを取り入れるのだという。

次は、どんな車を市場に送り出して来るのか。

非常に楽しみにさせてくれる、そんな1冊でありました。