サイレント・ブレス/南杏子

次は何を読もうか。

いつもの様にKindleUnlimitedの「おすすめ」を眺めていた。

目に止まったこの本。

評価も多く、著者を調べる。

現役の医師。それも25歳で結婚出産。

夫の転勤でイギリスに渡り、医師とのコミニュケーションが満足にできない不安から、独自に医学を勉強。

帰国後、33歳で医学部に入学。

38歳で医師になったと言う。

そして55歳で作家でデビュー。

凄まじいバイタリティです。

そんな著者のデビュー作。

一気に読むことが出来ました。

題材は終末医療。主人公は女医。

在宅医療の現場。

自宅で最期を迎える患者達。

自分は死ぬために自宅に戻ったと言う、末期の乳がんを患う45歳女性ジャーナリスト。

家族の言葉に踊らされ、苦悩する老衰性の84歳女性。

かつて雲の上の存在であった名誉教授。

そして最後にコミニュケーションが取れなくなって3年。意識も回復する見込みもない。自分の父。

自宅に連れて帰り、母と共に最期を過ごす。

私は、ご遺体は何回も見たときはありますが、

「死の場面」には遭遇したときがありません。

そんな情景がすごく想像出来ます。

将来自分が、寝たきりになったり、意識がない状態。

介護を必要とする状態。

そんなことになったら、きっと延命治療など望まないだろう。

家族に迷惑がかかるだけ。そう思うだろう。

私の父も実際そうであった。

生前父は、「延命治療は社会の悪だ。」

酒を飲みながら、そんなことを言う人であった。

最期は病院で半年過ごしたが、自分で管を外したりし終盤は手足を拘束されていた。

今は、もっと早く逝かせてあげた方が良かったのでは無いか。

そんなことを思うことがある。

最後に解説で書評家の方が、

人が死ぬ小説を読んで救われたと思ったのは、今のところ本書ただ一冊だ。

そんな記述があります。

私も死に向き合う姿勢。

ただただ「恐怖」そんな感覚しかありませんでしたが、

著者の言う。

死は「負け」では無く「ゴール」

そんな風に思わせてくれる。

大変勉強になりました。