連続殺人鬼カエル男 / 中山七里

 埼玉県飯能市にあるマンションの13階で、フックでぶら下げられた女性の全裸死体が発見される。そばには「きょう、かえるをつかまえたよ。箱の中に入れて色々遊んだけど、だんだん飽きてきた。思いついた。ミノムシの格好にしてみよう。口から針をつけて高い高いところに吊るしてみよう。」死体の惨たらしさとは対照的な、まるで幼児が書いたかのような稚拙な犯行声明文。

 現着した埼玉県捜査一課の渡瀬と古手川は薄気味悪さをおぼえ、検死を担当した光崎藤次郎や、テレビでも活躍する犯罪心理学の権威・御前崎宗孝はその異常性に言及する。

 そしてそれからわずか4日後、同じ飯能市内で廃車工場のプレス機に圧し潰された第2の犠牲者が犯行声明文と共に発見されると、マスコミは捕まらぬ犯人を「カエル男」と名付けてセンセーショナルに取り上げ、埼玉県警には2000を超えるタレ込みが寄せられる。

 その中に名前があり、過去に性犯罪や殺傷事件を起こし、なおかつ飯能市に土地勘がある者からあたっていくと決めた渡瀬と古手川は、4年前に幼女を監禁・絞殺したものの、カナー症候群と診断されて不起訴のまま措置入院し、現在は保護司・有働さゆりの保護観察下にある当真勝雄を訪ねる。

 当真はさゆりのピアノによる治療を受け、歯科医院で雑用の仕事をしながら穏やかに暮らしていた。調査対象として接しなければならないと思いながらも、さゆりやその息子の真人、そして当真にも好感を抱いていた古手川だったが、初対面からわずか2日後、真人がカエル男の第3の犠牲者となってしまう。

 怒りに我を忘れそうになる古手川を諫めながら、渡瀬は状況を冷静に見つめ、3つの殺人が全て飯能市内でアイウエオ順に行われていることに気づく。埼玉日報の記者・尾上善二もこれに気づき、事態を詳らかにしてしまうと、市役所、精神患者の収容施設など、ありとあらゆる場所に異常犯罪虞犯者リストを求めた市民が押し寄せ大パニックとなる。

 しかしカエル男の犯行は止まらず第4の殺人が発生。ついには飯能警察署内で市民による暴動が起こり、渡瀬と古手川も身動きがとれなくなってしまう。当真らの身を案じた古手川はなんとか警察署を抜け出し救助に向かうが、そこでなぜこの4人が殺されたのか、その本当の共通点に辿り着く。
 と、ウィキにあらすじが書いてあったので、コピペさせて頂きました。(笑)

 1人目は死んだ状態で始まったので、なんとか耐えられましたが、2人目の廃車工場のプレス機に圧し潰された第2の犠牲者の描写を読んで(聴いて)いる最中、やめようかと思うくらいとても寒気というか、なんとも凄惨な状況が想像させてくれました。

 2人目でそうだったので、3人目、4人目など、そのほかとにかく凄惨な場面の描写が痛いを通り越しているというか、とにかく進めるのをやめたくなるくらいヒドイ印象です。

 ミステリーなので、ネタバレになるので詳細は書きませんが、どんでん返しの見事さ、違和感と伏線の張り巡らし方、全てが収束していく気持ちよさ、感情表現、事件の凄惨さの表現、どれもが執拗なくらい。圧倒的に引き込まれる感じは、とても素晴らしいと思います。

 中山七里さんの作品は「追憶の夜想曲 御子柴礼司」「秋山善吉工務店」「スタート!」に続いて本書で4冊目ですが、こんなに凄惨な感じだったろうか。そんなことを思ったので、また何か違うのも読んでみようと思います。