結婚して三十数年。共働きかつワンオペ育児をこなし、節約を重ねて住宅ローンも完済した霧島郁子は、夫の定年退職を機に、ようやく訪れたはずのゆったりとしたセカンドライフを夢見て夫の実家がある田舎へ移住する。
しかし、そこで待っていたのは夫の家族の複雑な人間関係や、地元でのしがらみ、さらには予期せぬトラブルばかり。静かな老後など夢のまた夢。
 失意の郁子を救ったのは、老齢の女性市議・市川ミサオ。彼女の後押しで市議会議員に立候補することに。
 最初は落選するが、すぐ補欠選挙で当選。そのあと、市長にまで上り詰め、会派を広げていくという、なんとも著者らしい痛快な物語でございました。
本書で初めて聞いた言葉があった。「クオータ制」性別、人種、宗教などを基準に、集団内の構成員に一定の割合を割り当てる制度。格差是正のための積極的改善措置の一つであり、政治分野(国会議員や地方議員など)、企業役員、公的機関の委員など、多様な分野で導入されているのだという。
本書では郁子が市長に立候補するときの公約で「女性議員を4割入れるクオータ制」を掲げます。そのことにより、マスコミから注目されたこともあり、市民を巻き込んで旋風を起こして行きます。
女性議員を一定割合入れるという、市の方針により、Iターンを考えている女性もやってくるという、フィクションなのでとてもうまく行く流れではありますが、これくらい斬新で尖っていることをやるくらいが、未来は明るくなるのではないか。
そんなことを考えさせられると同時に「市議会議員をやるならこれくらい読みなさい!」と、本書を市議会議員に薦めたいと思います。(笑)
