日本の「国民服」となったユニクロ。無視していたファッション誌も、今ではユニクロ抜きでは成り立たなくなってきた。ここまで普及した理由は、服は特別なもの、おしゃれは難しいという思い込みを解き、服で個性を競うことに疲れた人々の心を掴んだからだという。
もう誰もが服に余計なお金も時間も使いたくない。ユニクロはその変化にいち早く気づき、「見た目」をよくするための服ではなく、「くらし」をよくするための服を提案し続け、それは世界をも席巻している。本書は、これまで指摘されることのなかったユニクロのメッセージと消費の変化について、さまざまな面から語られています。
なぜ、私たちはユニクロを選ぶのか。著者は、ユニクロの特徴として、ベーシックなデザインと豊富なカラーバリエーションを挙げています。ユーザーはニットやパンツ、シャツなど単体のアイテムを「部品」として組み合わせ、着用することができる。ユニクロの商品はコーディネートのしやすさが「売り」だという。
そして何といってもユニクロを特徴づけるのは「機能性」。ヒートテック、ウルトラダウン、エアリズムなど防寒・涼感の機能をもつ素材が開発・製造され、大ヒットした、未だにヒットしている商品が多い。
平成初期はDCブランド全盛の時代。まだ人はファッションや競争、特別感、優越感を求めていた。そのため、TVCMや新聞折り込みでよく目にする、大衆的で個性のないユニクロを着ているとバレる「ユニバレ」と称し、敬遠する傾向もあった。
しかし東日本大震災をきっかけに、他者と競って流行を追うのではなく、倫理的な正しさを公平、エコを求めたり、フェアトレードでなければと、安さの中に悪があることも認識してきた。「服はむしろ少ない方がおしゃれ」という思想は、私は聞いたことはないが、そんな考えもフランスなどの海外では高まっているのだという。
私は「おしゃれ嫌い」ではないが、自身は「おしゃれ」だとは思わない。どちらかというと、「おしゃれ」に敏感な人というか、自分を「おしゃれ」に見せようとする人は、苦手のような気がします。(笑)
しかし、流石にみすぼらしい格好をするわけにする訳にも行かないので、先月スーツを2着仕立てました。何年か前に仕立てたスーツが、「ダボダボでみっともない!」という、妻の外力のおかげです。(笑)
本書を読んで一番共感できたのは「服はむしろ少ない方がおしゃれ」という点だろうか。私の生活習慣からして、スーツを5着以上持ったところで、1着は必ずカビが生えるし、革靴も3足以上持つと、1足にはカビが生える。(笑) 少ない服でも「おしゃれ」とは言われないまでも「みっともない」と言われないよう、作業服以外のときは、それなりに身なりは整えたいと思います。
本書は「ユニクロってバレたくない」から「ユニクロでもいいか」。そして「ユニクロでよくない?」。さいごに「むしろユニクロ」 そんな時代の遍歴をとても垣間見ることが出来る本書でありました。