今こそ手紙生活のススメ/上林山瓊子

 現在の通信手段はSNSやメールが中心です。しかし、手紙だからこそ伝わる思いはある。私も含め、手紙から遠ざかっている人にはちょっとハードルが高い。

 最後に手紙を書いたのはいつだろう。全く思い出せないが、東京の専門学校時代、仕送りの入金を確認したら、実家に近況報告をはがきを書いて出すという、そんなルールがあったのを思い出す。 父が考えついたものなのか、どっかで仕入れた知恵なのかわからないが、親にとってはよく出来た仕組みです。

 本書では、3行で伝わる短い手紙のすすめ、スムーズに書き出すためのオリジナル文例、印象に残る締めくくりの言葉など、苦手意識のある人でも必ず書けるコツとアイデアを満載です。

 だれかに手紙を書きたくなったり、実際に書く時、非常に参考になる内容だと思います。

 手紙の役目はもともと用件を伝えることだが、プラスアルファの魅力が手紙にはある。 便箋やはがきを前に一文字書き出す緊張感。見えぬ相手に話しかけるような親密な気分で筆を走らせる楽しさなど。手紙を書いたことのある人なら、だれでもそんな記憶があるかもしれません。

 親子や友人。知り合いとの手紙以外、人生には手紙で勝負をかける時があるという。著者も、フリーで仕事を始めたばかりのころ、十数社もの出版社、編集プロダクションに来る日も来る日も手紙を書き送ったという。

 幻冬舎の見城徹 氏も創業当時、「あなたと仕事がしたい」と毎日手紙を書いていたエピソードは、いろいろな本で読みました。ビジネスの場で勝負をかけて手紙を書くとしたら、もちろん手書き。「手書き」にはパワーがある。

 企業でもこの会社のこの部門と取り引きしたい、つながりを持ちたいと熱望するときは、手紙を使者にすることが出来るという。私はそんな手紙はもらったことがありませんが、もし、もらったらどう思うだろう。
 少なくとも、名刺とパンフレットを持って来社されるより、数段、心を打たれるかもしれない。そんな、大げさなものでなくとも、付箋にちょっと書き置きするとか、宴席でご一緒した人に、礼状を書いてみるとか、小さい子とから初めてみましょうかね。

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