なぜ働いていると本が読めなくなるのか/三宅香帆


 子どもの頃から本が好きだった著者。本を買うためにはお金がかかるので、就職したらたくさん本を買って読めるようになると思っていた。しかし、毎日仕事に追われて本が全くと言っていいほど、読まなくなった。時間が空いたときすることといえば、SNSとYouTube。挙げ句の果てに会社をやめてしまう。

「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方について書かれており、最後は労働問題の解決まで提起しています。

 仕事をしているときは自己実現のためにと、実用的なビジネス書や自己啓発ばかり読む傾向になるという。自分でコントロールできない社会や環境はどうにもならない。それだったらコントロール出来る自分を変えて、いま置かれている環境に対応していく。

 他人は変えられないが、自分は変えられる。どんな自己啓発にも書いてあります。自己啓発をたくさん読むという行為は「自分を成長させようという向上心」があるような人の印象はあるが、本当は現在置かれている状況に「不満」だったり、ある意味「不幸な人」なのかもしれないと、そんなことを考えさせてくれました。笑

「読書は人生のノイズ」という章があります。インターネットで調べるのが当たり前になった現在は「情報」はすぐ手に入れることが出来る。それも必要な情報だけ。読書は「情報」に加えて「ノイズ」があるのだという。しかし、その「ノイズ」が結びつくことで「知識が知恵に変わる」のだという。

 すかさず、ググってみました。笑 「知識と知恵の違いは何ですか?」

『知識』は情報を知っていることを指すのに対し、『知恵』は知っているだけでなくそれを活かす能力だと言われています。 私たちは毎日、数多くの問題に直面しますが、問題を対処するのに大切なのが『知恵』です。 私たちは 『知恵』をしぼり様々なことに対応しています。

 なるほど、うまいことを言うものです。インターネットがあるから本を読まない。そんな人は多いし、私の身の回りにもたくさんいる。そんな人から抜け出すためにも「読書のノイズ」をたくさん吸収して、知恵があるおじさんになりたいものです。笑

6月17冊目_2024年132冊目