ミス・パーフェクトが行く! /横関大

 主人公の真波莉子は、東大卒の元キャリア官僚で、厚生労働省に所属するエリート。頭脳明晰で清廉潔白。「その問題、私が解決いたします」が口癖の完璧超人として、周囲から「ミス・パーフェクト」と呼ばれている。

 そして、現職総理大臣の隠し子。それが発覚して、霞が関を追われる形で退職。それから始まる連作短編形式で、莉子がさまざまな社会問題や組織のトラブルを次々と解決していく様子が描かれています。

 退職後、意外なことにファミレスチェーンのアルバイトからスタートし、そこでの経験を活かしながら、持ち前の能力と人脈を駆使して難問に挑みます。主なエピソードは以下の通りです。

第一問:ある政治家の不適切な炎上発言を収束。莉子は巧みな策略で事態を鎮静化し、政治家のイメージを回復。

第二問:売り上げ最下位のファミレス店舗の立て直し。莉子自身が現場に入り、スタッフのモチベーション向上やメニュー改革、運営効率化を進め、驚異的なV字回復。

第三問:コロナ禍で苦境に陥った航空会社で、不倫スキャンダルに巻き込まれた客室乗務員(CA)の転職支援や、会社のリストラ問題を解決。個人の人生から組織全体の危機まで対応。

第四問:赤字続きの地方病院の再生。医療現場の複雑な人間関係や経営難を、莉子の鋭い洞察力と大胆な改革で立て直す。

 莉子はボディーガード兼運転手の城島をはじめとする周囲の協力者を得ながら、超人的なスピードと正確さで問題をクリア。時には父である総理の影で政治的な影響力も発揮しつつ、基本的に自力で解決いく。

 物語を通じて、莉子の完璧さの裏側にある孤独や、微妙に芽生える城島との関係性も描かれ、爽快感だけでなく人間味も感じさせる内容です。全体として、現実の社会問題を基にしつつ、莉子の無双ぶりが痛快で、読後感は非常にスッキリ。

 こんな人が実在したら仕事を頼みたい!と思わせる、頑張る女性を応援するような明るいエンタメ作品でございました。

 シリーズ続編『闘え!ミス・パーフェクト』『ミス・パーフェクトの憂鬱』も、すでに読了済みなので、後で紹介しようと思います。