脳は約140億個の神経細胞からできているのに、実は「大脳」「小脳」「脳幹」のたった3つに分けられるシンプルな構造で、体重のわずか2%しかないくせにエネルギーの20%を独り占めする、超わがままな器官だと著者はいう。
意識はどこにあるのか?「赤を見たときの赤さ」=クオリアは他人と完全に共有できない主観体験であり、意識は前頭前野を中心とした脳全体のネットワークが作り出している。記憶にいたってはもっと衝撃的。
思い出すたびに上書きされるため、昔の思い出はほぼ確実に改変されている。それでも人間だけが「自分が体験した物語=エピソード記憶」を持てる唯一の動物だという。
感情は理性より0.1秒早く動き「怒る→理由を探す」という順番がデフォルトで、理性が後から正当化しているにすぎない。夢は記憶の整理と感情処理のために見ていて、夢を見ない人はいない。ただ朝には忘れているだけ。
驚くべきは脳の「変わり続ける力」だという。「歳をとると脳は衰えるだけ」というのは大ウソで、新しい経験をすれば80歳でも新しい神経回路は作れるという。
80歳でも衰えないようにコントロールできるなら、57歳の私は、少しでも衰えないようしよう。毎日本を読んで(聞いて)アウトプットするのも悪くない。そんなことを考えさせてくれる本書でありました。