2018年に出版されたもので、最新AIを知るには少し古いかと思いましたが、7年たったいま読んでも、とても参考になる1冊でございました。
著者はシリコンバレーでGoogle本社に勤め、数多くのAIプロジェクトを率いた後、独立して日本企業にAI導入を支援。彼女が繰り返し伝えるのは、AIは決して「人間の仕事を奪う恐ろしい存在」ではなく、「人間の能力を何倍にも引き上げてくれる相棒」だという。
本書が最も強調するのは、AIをビジネスで使いこなすための、シンプルな3ステップ。まず「課題を発見する」、次に「その課題を解くために必要なデータを集め整理する」、そして最後に「AIを適用する」。
この流れのなかで、日本企業が一番つまずくのは実は「データの蓄積と整備」だという。データがバラバラだったり、そもそも記録されていなかったりすると、いくら高性能なAIを導入しても「ゴミ箱を診察する医者」になってしまう。
世界の最前線では、Amazonがレジなし店舗を実現し、Googleが医師よりも正確に眼底写真から病気を診断し、スターバックスが注文を予測して在庫を限りなくゼロに近づけている。
これらの事例に共通するのは、みんな「データを長年コツコツ貯め続けた企業」だということ。一方で日本企業が失敗する典型は、完璧なAIを最初から求めすぎて検証が終わらず、現場が「俺の経験の方が正しい」とAIを拒否してしまう。
今だから著者の説いた言葉で響くのは「AI時代に最も必要なスキルは、AIに上手に質問する力=プロンプト力だ」という。
2025年の今、まさにそれが現実になっている。著者が最後に残すメッセージは「AIに仕事が奪われるのではなく、AIを使いこなせない人が仕事を奪われる時代が来る」「データのない会社に未来はない」「完璧なAIを待っていたら完璧に遅れる」
実は私もこの文章を書くのに、AIを利用しています。(笑) GoogleのGeminiや、XのGrokで、本の要約を書いてもらったりするだけで、1回読んだ本の内容を思い出すこともできれば、こうやってアウトプットすることによって、読書も自分のものになるのかも知れない。(笑)
こんなことが書いてあった。「AIビジネスで最も重要なのはアウトプットである」「アウトプットにこだわる会社は美しい成果を映し出し、アウトプットにこだわらない会社は自分の怠慢を映し出す」
自分はアウトプットにこだわっているというより、アウトプットしなければ何も始まらないと思っている方なので、とりあえずAIを使ってアウトプットしているということで、前述した「AIを使いこなせない人が仕事を奪われる時代」になっても、クイブチを稼げるような人間でありたいものです。