本屋大賞を岩手県人が初めて受賞 したとニュースになっていたので、これは読むしか無いでしょう。そんなミーハー読書です。
主人公は法務局に勤める野宮薫子。溺愛していた弟が急死し悲嘆にくれる。弟が遺した遺言書を見つけ、弟の元恋人・小野寺せつなと会う。
やがて薫子はせつなが勤める家事代行サービス会社「カフネ」の手伝いをすることに。弟を亡くした薫子と弟の元恋人のせつな、2人の関係は、せつなの超絶な料理スキルもあり、食べることを通じて縮まっていきます。
「カフネ」とは、ポルトガル語 で 愛する人の髪にそっと指を通す仕草 を意味する言葉。家事代行サービスを頼んだ人たちが、子供の頭を撫でるような時間を得て欲しい。そんな希望をいだいて名付けた社名。
この「カフネ」という行為が最後に訪れます。ネタバレになるので書きませんが、とても深い深いミステリーというどんでん返し的な感じではないけれど、点の出来事が最後は線でつながって行く感じはお見事です。
現在社会に存在する様々な問題が、ストーリーに見事に絡んでいるというか、1つの問題だけでは無く問題と問題も絡んでいる感じは、今までにあまり経験したことがない感覚をいただきました。
少子化、ネグレクト、貧困、LGBT、老人介護、難病、孤独死など。思いつくものを列記しましたが、これらが複雑に時系列もいったりきたりしますが、とても引き込まれていく内容でありました。
少し、岩手感を感じる部分があります。弟がキムチを一杯入れた冷麺を食うだとか、南部鉄器の工房を見に行ったエピソードがあったり、同じ岩手県人としてはとても親近感をいただけました。
せつなの父ちゃん が、#いなくなった理由がよくわからなかった のは、私だけではないと思います。(笑)
著者の本は初めて読みましたが、これを機会に違う本も読んでみたいと思います。
4月29冊目_2025年100冊目
